増位山太志郎さんが振り返る、2017年の大相撲その3

大好評の増位山さんによる2017年大相撲総括。
今回は七月場所、九月場所についてお話を伺いました。
華麗な技を繰り出していた増位山さんならではの、相撲の楽しみ方も教えてくださいます!

 

七月場所

主な出来事:白鵬が優勝。通算勝ち星で魁皇を抜いて歴代トップに。

ルールの範囲なら誰がどんな技を繰り出してもいい。
相手が工夫すればいい。

――七月場所では、白鵬関が優勝。そして通算勝ち星で歴代トップになりました。
白鵬の相撲、いろいろ言われるけどね。張り差しが、とか、かちあげが、とか。でも私はどうってことないと思うんだよね。それも技だから。幅があっていいんじゃないかと思いますよ。相撲の幅があるってことは、それだけ相手によって使い分けることができる。だから勝ち星をあげられるんじゃないかな。体の柔軟性もすごいし、相撲自体にも柔軟性があるから、たいしたもんだと思います。相撲がうまいんだよね。
横綱だから張り差しやっちゃいけないってルールはないんだから。横綱だって小兵がなったら、いろんなことしないと持たないんです。相手が工夫すればいいんですよ。かちあげくるのがわかってたら、立つふりしてパッと止まる、とか。こないだの嘉風みたいにね。昔は、ああいう立ち合いいっぱいあったんです。待った、かと思ったら立ってきたりっていう作戦が。
だから、私が師匠から教わったのは、立ち合いでドーンと突いてしまえ、と。そうしたら相手はグラッとなっちゃうから、倒れるぐらい突いてしまえ、と。双葉山関は実際やっていましたね。だから、相手がどんな立ち合いをしてくるかを頭に入れておかなくちゃ。
十一月場所では、嘉風のあの策にのってしまった白鵬が悪い(笑)。下の者は何をしてくるかわからないんだから。
――立ち合いは一瞬のドラマがありますね。
そうそう。立ち合いは単純なものじゃないから、一番面白いんです。いろんなことを禁じてしまったら、つまらなくなってしまう。よーいドン!になったら相撲じゃなくなります。待ったをしてもいいし、何をやってもいい。それが面白味。私はそう思います。

九月場所

主な出来事:日馬富士序盤で4敗しながらも逆転優勝。

精神力だけは鍛えられない。稽古で体を鍛えることで気持ちもついてくる

――九月場所では、日馬富士関が逆転優勝しました。三横綱休場、高安、照ノ富士途中休場という少し寂しい場所でした。
私も優勝は豪栄道かなって思っていたんだけどね。あそこまでいって勝てないのは、やっぱり優勝を意識してるんですよね。それが相撲っぷりに現れちゃう。意識せずに勝ち続ける精神力っていうのが大事。あっというまの勝負だからね。

相手を引きずるような独特の上手投げ、上手出し投げを得意とした現役時代。

――精神力はどうやって鍛えるのでしょう。

鍛えられないですよ(きっぱり)。結局、体を鍛える、稽古をする。それによって「絶対」っていう気持ちが養われる。いくら精神力だけ鍛えたって、体が弱ければ負けますもん。体からくる自信を作っていかないといけないよね。

――豪栄道は去年、全勝優勝しました。

あのときはカド番だったでしょ?カド番脱出を目指して相撲をとって、勝ち越してカド番とれて、気持ちが乗り切っているわけだからね。そういうときは強いよね。今回は追われる立場だったでしょ。追われるより追うほうが、気持ち的にいいのかな。そういうちょっとした心の変化が、相撲に影響を及ぼすんですよね。それがまた面白いし、相撲って奥が深いなって思うところですよね。

――力士の置かれた状況を頭に入れながらお相撲を見ると、さらに面白くなりますね。

そうそう。

――照ノ富士関がこの場所で負け越して、大関陥落となりました。

膝、かなり悪いのかな。大きい力士だから、膝は治りも悪いし負担もかかるしね。私も若いとき、幕内に入ってすぐぐらいのころ、稽古場で自分で投げうって、クッてやって靭帯切っちゃったの。1年おかしかったね。プールで平泳ぎすると、切れたほうの足だけカクカクってなって遅れてくるの。

――靭帯切って、休場したんですか?

場所前だったからね。テーピングして相撲とってたと思いますよ。

――九月場所後に、二所ノ関親方(元若島津)にアクシデントがありました…

若島津ね、頑張ってほしいですね。現役のころ行った鹿児島巡業で、いい体つきしている青年がいてね。「力士になれよ。部屋決まってるの?」って聞いたら、「決まってます」って言うの。それが若島津だったんですよ。若島津とは1回対戦して、勝つには勝ったの。でも、大相撲になっちゃって。自分が「力士になれよ」って声かけた若い人と相撲と、そんな相撲とっちゃったから「ああもうダメかな」って思って、引退を決意したんですよ。若島津は現役最後に勝った相手です。おかみさん(高田みづえさん)も同じレコード会社(テイチクレコード)だからね。縁があるんです。

増位山太志郎(ますいやま たいしろう)

昭和23年、大関・増位山の長男として生まれる。高校時代は水泳選手として活躍。卒業前の昭和42年に父親が師匠の三保ケ関部屋に入門、初土俵。昭和45年新入幕、昭和55年大関昇進。史上初の父子大関が誕生した。多彩な技を繰り出す華のある相撲で土俵も盛り上げた。昭和56年引退。年寄・小野川を経て昭和59年に三保ケ関部屋を継承した。一方、現役中の昭和47年『いろは恋歌』で歌手デビュー。昭和49年発売の『そんな夕子にほれました』が120万枚超、昭和52年発売の『そんな女のひとりごと』が140万枚超の大ヒットを連発。平成25年日本相撲協会を定年退職し、歌手活動に専念している。

 

 

photo:Mariko Nakagawa

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