呼び上げの極意とは!?

2018年最初のポツリは、呼び上げの極意について。現役中で一番うまくいった呼び上げは……。さらに、おまけで、秀男さんのご自宅もちょっぴり公開しちゃいます!

―今日は呼び上げの極意についてお伺いしたいのですが。
だいたい、しこ名って5文字が一番呼びやすいんだよね。それで、大事なのは3文字目ね。3文字目にキーを上げてね。それから最後にもっていくのが難しいんだな。でもどうするって口では説明できないんだよ。

―その極意はいつごろ会得されたんですか?
立呼出に上がってからだよ。やめる5年前くらいだもん。あ、これだって思った。場所の帰りなんかに歩きながらやるんだよ。

―え、周りの人にびっくりされないですか?
小声だよ。大声だしたらつかまっちゃうでしょ。で、あ、そうか~!って思ったことがあってね。

―何が「あ、そうか」だったんですか?
3文字目を呼び上げてだね、そうね……、何があれなんだろうね~。わからない。

―盛り上げどころを3文字目にもってくるってことですか?
うん。それはわかってたんだけど、その後ね。たいがいみんな4文字目に力入れるんですよ。なんとかや~ま~ってやったほうが楽だから、それでやってきたんだけど、そうじゃぁねぇんだなぁ。その3文字目が大事なんだ。3文字目が難しいんだ。

山木秀男 やまき・ひでお
元立呼出。1949年生まれ。1969年伊勢ヶ濱部屋に入門、同年三月場所で初土俵。桐山部屋を経て、定年時は朝日山部屋所属。2008年一月場所より呼出のトップである立呼出を務め、2014年十一月場所にて、惜しまれつつ定年退職。見事な呼び上げの美声で相撲ファンから愛され、「土俵の妖精」のニックネームも。

―誰の呼び上げで気づいたんですか?
忘れちゃったよ。

―5文字だと3文字目ですが、4文字のしこ名の場合は?
例えば白鵬は4文字で、どこに持っていくかというと「ほ」だよね。要は3から4にどう持っていくかだよね。

―3文字とか2文字のしこ名になると大変ですね。
2文字は大変だよ。

―宇良関や矢後関ですね。
矢後ってまだ名前かえないの?

―今度幕下落ちちゃうかもですからね。
(平成30年初場所番付では幕下に)
あ、そう。

―天空海(あくあ)も呼びにくいですね。
ね。名前変えるんじゃないの?

-いやー。茨城の大洗出身で、そこのアクアワールドから取ってるらしいですよ。
へぇ~。アクアってカタカナでしょ。

―水族館はカタカナですね。
あそう。水族館なの。じゃ、水族館でいいじゃない(爆笑)。

―最初はこの音が言いやすいってあります? 母音は言いにくいとか。
最初は「あ」でも構わないよ。それより一番最後だよね。最後は「あ」段が一番いいけどね。一番いやなのは「い」とか「え」。琴風なんかはいやだったね。

―じゃ、尾車部屋はだいたい言いづらいですね。
そうだね。

―一番うまくできたっていうのは覚えていらっしゃいます?
うまくできたっていうのは、一回しか呼び上げできなかったんだけど。武蔵丸だったんだよね。なんでうまくできたかっていうのは、今だにわかんない。

―武蔵丸って言いにくそうですけど。
たまたま、あれ~うまくできたな。って。二度とできない。そのときだけだった。

―秀男さんが立呼出になってからですか?
そうだと思うよ。印象に残ってるんだよ。自分で、あ~うまくできたな~って思ったんだけどね。自分の声は案外わかんないもんだけど、うまくできたってのは、自分で感じるんだよ。

―相手は誰でした?
覚えてない。そんなもんなんですよ。西だったってのは覚えているんだけどね。ふだんは、ぜんぜん呼びにくいっていやがってたしこ名だけどね。武蔵丸だと「し」で伸ばさないといけないから、難しいよね。

―始まりも「む」だと言いにくそうですね。
ま、始まりはなんとかなるんだよ。ごまかしがきくから。最後がね。「まる」でと止まるのもおかしいしね。なんか、そんときだけよかったんです。

―ちなみに武蔵丸は勝ちました?
記憶にないね。

―そんなもんなんですね。
ちなみに秀男さんはご著書で、演歌の抑揚が呼び上げにあっているとおっしゃています。十八番は北島三郎さんと島津亜矢さんだそうです。

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秀男さんのご自宅をちょっぴり公開! 秀男さんのお部屋の壁にはおすもうの思い出が飾られています。一番奥は定年退職時に後輩の呼出から贈られた色紙、2007年宮島厳島神社での白鵬関土俵入りの写真、手前のイラストは秀男さんの著書で挿絵を担当された綾森けむりさんによる秀男さん。

厳島神社、国宝・高舞台での白鵬関の土俵入り。太刀持ちは安美錦関(若い!)、露払いは現在は引退している元宮城野部屋の龍皇関。

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