『デーモン閣下監修!みんなの相撲大全』

子ども向けなのに、そのへんの大人向け相撲本よりも数倍マニアックで詳しい! なぜならば、デーモン閣下が監修しているからなのだー! というわけで、今回のおすもう図書室は、今年2018年2月~4月に出たばかりの、おすもう大百科ともいうべき「デーモン閣下監修! みんなの相撲大全」(全2巻)を、デーモン閣下と、編集を担当された教育画劇の三原千佳さん、大悠社の大島善徳さんのコメントとあわせてご紹介いたします。

児童書をメインに出版している教育画劇から、子どもたちに相撲という文化を広く紹介しようと学校図書館向けに企画された本書は、大相撲の楽しみ方についての一巻と、文化としての相撲を紹介する二巻からなります。

デーモン閣下に白羽の矢が立ったわけとは?

監修は相撲ファンには言わずと知れたデーモン閣下。その造詣の深さは並々ならぬものがあるとはいえ、学校図書館向けの本を悪魔が監修!? まずはそこから教育画劇の担当者・三原さんに聞いてみました。

三原さん:今回の本は、スポーツとしてだけでなく日本の伝統文化を伝えるという点も大きかったので、成り立ちも含めて総合的に見ていただける方……と考えたとき、閣下しかいない! となりました。ただ相撲にお詳しいだけでなく、未来への見識をお持ちというところでも、子どもたちに向けた本書にぜひ加わっていただきたくてお願いしました。

そもそもの企画意図を、三原さんとともに編集を担当された大悠社の大島さんに聞くと、

大島さん:最近の大相撲は観戦チケットも手に入りにくく、海外からも注目を集めるほどの人気ぶりですが、一方、相撲をする子供たちは減っているような気がします。相撲には古くから育まれた文化的な要素もたくさんあるのに、その認知も低いのが残念です。そこで、今回は、相撲に関するさまざまな面を幅広く、ビジュアルも交えてわかりやすく解説したものを作ろうと心掛けました。

そんなお二人が、デーモン閣下にいざ監修を依頼されたときの閣下のお返事はというと……。

デーモン閣下:この話が来て、だいたいこんな内容になるってものを受け取って、まず『あー、これダメ!』ってダメ出し(笑)。最初に目にしたページに土俵の絵が描いてあったんだけど、土俵の周りって20の俵でできてるのに、ぜーんぶ繋がってた。こんなのダメですよ。吾輩が監修するとこんな細かいダメ出しいっぱいしますよ、という宣言とともに始まった本だね。

この反応に、編集のお二人は「もちろんです! よろしくお願いいたします!」と身が引き締まる思いがしたそうです。と同時に、それほどの熱量で見ていただけるならきっと面白い本にしていただけると感じたとか。

こうして始まった編集作業。やっぱり閣下にお願いしてよかったと改めて思うこともあったそうです。

三原さん:閣下が(世を忍ぶ仮の姿の)ご幼少のころから相撲がお好きだったという点も、児童書にするにあたって心強いことでした。また、おすもうさんって特別な存在だと思うので、俗世の人ではない閣下に見ていただけたのはすごくありがたいことだったなと、感じながら制作していました。

デーモン閣下的、この本の見どころとは?

編集作業は、基本的には大島さんと三原さんで作成した原稿をデーモン閣下に見ていただき、内容を精査、検討を重ねていくという形で進みました。なかなかに苦労も多かったようで、そんな苦労も含めて、デーモン閣下的にぜひ見てほしいポイントを教えていただきました。

デーモン閣下:一番大変だったのは決まり手のページ。イラストで表現するって難しいのだ。微妙な手の位置や、重心のかかり方で決まり手が違ってきてしまう。もうゲラが真っ赤になるくらい修正を書きこんだね。

編集者もイラストには苦労されたとか。

大島さん:取組の写真や動画などをもとに描き起こしてもらうのですが、珍しい決まり手はわかりやすい角度の写真がなかったり、動画もなかったり……。ここはこうでないとわかっていても、言葉で伝えるのは限界があります。イラストレーターさんにも苦労をおかけしました。

そして、子ども向けの本ゆえに、限られた文章量と平易な語彙で説明しなくてはいけなかったことも大変だったそうです。

デーモン閣下:どのページも大変だったんだけども、今の日本相撲協会ができるまでの説明文は、もうその歴史が複雑すぎて、この文字数じゃ説明しきれない! とはいえ、そこをなんとか納めたのが大変だったね。

閣下自ら文章を書かれたところもあるのでしょうか?

デーモン閣下:修正を入れるのに、自分で書いたほうが早いかもと思った場合は書いた部分もある。

実は、閣下に監修を依頼するにあたって、デーモン閣下のもつ言葉も大切なポイントだったとか。

三原さん:ふだんから、子どもが聞いても理解できる、伝わる言葉をお持ちだという印象がありました。この本でも、その点で助けられた場面が多かったです。例えば、『横綱』のページでは、横綱の品格に触れているのですが、品格を言葉にするのはとても難しいなと思っていました。でも、閣下が、私ならこう書きますと赤字を下さり、「品格とは、相撲の作法や美意識を大切にし、それを己れも理解し、後進に伝えていく考えを備えた人間性」と入れていただいて。言葉を選んで伝えて下さり、とてもありがたかったです。

最後に二巻の前見返しと後見返しにある「横綱一覧」。江戸時代の初代横綱・明石志賀之助から72代稀勢の里までが一覧になっているものですが、実はこの一覧表、世に出ている資料のなかで最も正確なものなのだそう。

デーモン閣下:特に引退年に関して、今までの資料はかなり適当なものだったのだ。引退年月をいつとするか、というルールが曖昧で、出場した最終場所だったり、引退しますって言った日だったり、死んじゃった日を引退としているものとか……。統一されている資料は今までなかった。だから、ここでは最後に番付に載った年月で統一した。

この作業はデーモン閣下と編集者が頭を突き合わせて、さまざまな資料を検証して調べ上げた努力のたまもの。ちなみに、年代は閣下がすべて和暦に直してくださったそう。

三原さん:閣下が相撲はやっぱり和暦でしょって。伝わりやすいように思って西暦を採用していたのですが、そこは和暦をと言っていただいて。中面でも和暦を採用しています。

まだまだあります〝閣下に感激!〟エピソード

お二人にデーモン閣下とのやりとりで印象的だったエピソードをお尋ねすると……。

大島さん:ご多用にもかかわらず妥協を許さない姿勢に、悪魔ならではの(?)矜持を感じました。イラストの修正では自ら図もかいて下さり、大変ありがたい熱意を感じました。

三原さん:人間界の締め切りもしっかり守ってくださいました(笑)。文章を直してくださる時には、なぜそう直したか説明してくださって心に残っています。

例えば、どんな修正が入ったのでしょうか?

三原さん:床山の仕事についてのところで、力士の髪型を「左右対称の美しいまげ」としていたのですが、閣下から「『バランスのとれた美しいまげ』という言い方にしましょう」という赤字をいただきました。「なぜなら、千代の富士のようにわざと非対称に結っていた力士もいるので」という理由も付け加えてくださっていて。そこまで書いてくださったのが印象的でした。

ちなみに、デーモン閣下は世を忍ぶ仮の姿で早稲田大学に在学されていたとき、体育の授業で相撲を選択していたり『相撲同好会』に所属していたという、技術的な経験者でもありますが……。

 
三原さん:実際に相撲を取ってみようというページでは、デーモン閣下の写真の吹き出し部分に『相手の重心をうかせる感じがわかるようになると楽しいぞ』というセリフを入れていただきました。相撲を取ったことのある方だからこその言葉が、とてもうれしかったです。

 
そういった、細かいところにまでデーモン閣下と編集者の思いが詰まっているのですね。各ページの欄外には、豆知識として、本編に入りきらなかったさまざまな情報がぎっしりと詰め込まれ、大充実の本になっています。親子で読むもよし、大人だけで読むもよし。ぜひぜひ、閣下の相撲に対する熱量を感じてください!

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