平成30年九州場所で引退した元・里山こと佐ノ山親方の引退襲名披露大相撲を応援すべく、3回にわたって同部屋の弟弟子で平成31年大阪場所で引退した元・天鎧鵬(てんかいほう)こと秀ノ山親方といっしょに現役時代を振り返る企画です。最終回は、現役時代の記憶に残る相撲について、親方仕事について、引退相撲に向けてなど、いろいろ伺いました~。最後にはプレゼントのお知らせもあります!
親方になって新発見が続々だった!
―親方になられていろんなお仕事されてますが、お気に入りのお仕事ってありますか?
佐ノ山親方(以下:佐):レジ打ちとか新鮮ですね。
―レジ!
佐:レジ打ちは夢だったんで。
―夢だった!? 学生時代はバイトは?
秀ノ山親方(以下:秀):日大相撲部はバイト禁止だったんですよ。
佐:バイトしたことなかったんで、バイトに憧れがあったんです。
―親方売店はなんか和気あいあいとしていい雰囲気ですよね~。
佐:そうなんですよ。バイトじゃないんですけどね~(笑)。
秀:レジしてて思ったんですけど、今まで自分が買い物に行ってめちゃめちゃレジ遅い人見ると「おっそいな~」ってイラッとしてたんですが、もうそういうふうに思うのやめよって思いました。自分がやってみたら大変だと思いました。親方売店って10円って単位がないんです。
佐:あー。
秀:最低でも50円じゃないですか。
佐:あー。
秀:だから、おつりが取りやすいんです! でも、もし1円とか5円とかあったらレジ打ち大変だし、おつり取るのも大変だろうなって思いましたね。
―一般生活にも影響をおよぼしているんですね。物販以外は本場所前に清掃とかされてますね。
佐:はい。国技館の周りを掃除するんです。あとは、気分が悪くなられたお客様を担架で搬送したり。
―親方として本場所に来てみていかがですか?
秀:現役の時は、自分の取組の時しか来ないですけど、今は最初から最後までいますから、今まで知らなかったことがいっぱいあってびっくりしました。
―新たな発見がありました?
秀:先場所が初めてだったんで、こうやって本場所って1日終わってるんだって。西の花道の警備をしてたら、呼出しさんが懸賞幕を持ってまわるときの慌ただしさとかすごいなって。それに、呼出しさんて朝6時半くらいから来られてるし。
―土俵の整備とかでね。
秀:あと、今回は特別ですけど、千秋楽にトランプ大統領が来られたので見回り担当したんです。2階席のお客さんが西宮神社*かなって思うくらいの形相で走って来られてすごかった。こうやって熱狂的なファンが走って見に来てくださってるって思うとね。ありがたいです。
*兵庫県の西宮神社に伝わる十日えびすの「開門神事」では、毎年開門とともに一番福(福男)をめがけて参拝者が本殿まで疾走する。
―佐ノ山親方は新しい発見ありました?
佐:新しい発見は、国技館の裏の通路が結構複雑で、地下の大広間のほうとか通ったことなかったんですよ。地下から入ったことなかったんで、こうなってんのかって。裏の通路とか、覚えるまで大変でした。あと2階席もこうなってるのかって思いました。食事をするとこがあるのも実は知りませんでした。
―雷電ですね!
佐:あと、アベマTVがあんな上の高いところからやっていたり、NHKの解説席に窓ガラスがないことにびっくりしましたね。
―確かに、裏側が見えてくるってのはありますね。
佐:はい。ふだん通らないですからね。
秀:なんで、正面の解説席にガラスがないんだろう。なんでかなって思いません?
佐:カメラだよ。
―反射しちゃうからですね。
秀:そうか。もうひとつ疑問があるんですよ。
―なんですか?
秀:トランプ大統領が来られた時に、ペットボトル持ち込み禁止だったんですよ。でも物販でペットボトルよりもめちゃくちゃ堅い、陶器のマグカップ売ってるんですよ。そっちのほうが凶器にならないですか!?
佐:あれ、中みじゃないの?
―液体がね。
秀:え!? 中みなんすか!?
佐:うん。そうじゃない?
秀:あーーーー。そういう意味ですか! 液体ね! ペットボトルだめでなんでマグカップがOKなんやろって。なんなら、皿も売ってましたからね。そういうことですかぁ。
佐:それ言い出したら、全部武器になるから(笑)。
―これで一個解決されましたかね。
秀:解決されました。
―将来的にはどんな親方になりたいとかあります?
佐:相撲を教えるってことはすっごい難しいんですよ。自分は今まで潜る相撲しかとったことないんで、四つ相撲なんか感覚がわかんないですし。一人ひとり、人それぞれ、絶対に相撲のとり方は違うんです。右四つでもそれぞれで、下手から攻めたり、上手から攻めたり。そこを見極めて伸ばしてあげられるといいんじゃないかなって。指導は難しいですね。
お互い絶好調だった場所はやっぱり楽しかった
―では、現役時代の思い出を。印象に残っている一番や場所はありますか?
秀:2012年の新入幕の場所で、13日目に把瑠都関が優勝して、自分も初めての幕内で勝ち越して、で、佐ノ山親方が3勝3敗で吐合(はきあい)さんとやって、再十両が決まって。尾上部屋の3人が優勝、再十両、勝ち越しって、今日はすごいいい日だなって思ったのを覚えてます。
―力士の方って皆さんって記憶力いいですよね。
秀:やったことあるかないかとか、この人にはどうやって勝ったとか、分がよかった悪かったは、やっぱりみんな覚えてると思います。特に勝ち越し決めた一番とか、負け越し決まった一番は覚えてますね。
―すごい!
秀:佐ノ山親方が大阪場所で臥牙丸関を投げた時に、声援がすごすぎて、勝ち名乗りを受ける時ふらついたっていうのは本当ですか?
佐:それ、マジなんです。スピーカーでバーンときたような感じでした。
―へぇ~。里山関の取り組みは本当に盛り上がりましたね。
秀:思うんですけど、日本人ってどうしても小さい人を応援しちゃうじゃないですか。だからもう、僕アメリカに住もうかなって思ったことありますよ(笑)。
佐:アメリカだってそうじゃないの?
全員:爆笑
―いや……。でも、里山関の相撲は負けても「よくやった!」っていうか「ありがとう」って思いますよ。
佐:やってる方はめちゃくちゃ悔しいですよ。引きずるタイプなんで自分。
―え!引きずるタイプなんですか。
佐:引きずりますよ。でも次の日もあるから切り替えないといけないんですよ。
―お互いの相撲で印象に残ってる一番はありますか?
佐:天鎧鵬の印象に残ってるのはね、隆の山さんにうっちゃられたやつ。
秀:あー、負けた相撲ですね。
佐:印象に残ってる相撲ですよね?
―そうですそうです。
佐:あと、照強関に勝ったのはよかったですね。入れ替え戦で。
秀:3分半くらいの長い相撲ね。
佐:隆の山さんのうっちゃりは歴史に残るうっちゃりじゃない? 隆の山さん、あんなに細いのに。
秀:佐ノ山親方のだと、さっきの吐合さんとの一番もそうですし、いくつもあります。一番というのではなくて印象に残ってるのは、僕も佐ノ山親方も十両でめちゃくちゃ調子よかった時があって、親方は11勝してて、結局僕は10勝やったんですけど、このままいくと2人で優勝決定戦するんじゃないかなって勢いだったんですよ。その時の場所中は楽しかったですね。
引退相撲では断髪後のヘアスタイルにも注目!
―そろそろ引退相撲の話を。やっぱり見どころは息子さんとの取組ですか?
佐:息子と土俵入りか、相撲をとりたいって思ってるんですが、本当にまだ決まってなくて……。
―一足お先に断髪された秀ノ山親方ですが、マゲを切るときの心境はどうでした?
秀:ハサミを入れていただいた方にはそれぞれ思い出もありますし、感極まる部分はあったんですが、会見で引退を公表した時に感極まった感じで、もうそこで一度気持ちがふっ切れてるというか……。
―気持ちの整理がついてる?
秀:そうですね。
―髪形は?ヘアカタログとか見るんですか?
秀:見ました。
―へ~。
秀:どういう髪型にしますか?って見せられて。
―その場で?
秀:はい、もう急いでるんで、じゃ、これで!って感じです。短めでお願いします!って。
―事前に考えておられなかった?
秀:ぜんぜん決めてないです。“断髪して整髪してからすぐの髪型けっこう変になりがち説!”ですよ。
―爆笑!
秀:なので、どうあがいても無理だなと。
―今の髪型かっこいいですよ。今日はご自身でセットされたんですか?
秀:自分で。もうくせ毛すごいんで。
―佐ノ山親方はどうされるんですか?
佐:いや~もうやばいんですよ、てっぺんが。
―激しい相撲の時はよく……。
佐:はい。これを今どうしようかなと。
秀:今、「激しい」と「禿」と、かけてたんですか?
―いやいや!!
秀:どっちのはげしいですか? 上にのぎへんの方ですか?
―いや! さんずいの方です!
秀:あー、さんずいの方ですか~。
―でも、ここ(頭頂部)がチラリと見えるのが、里山関の相撲というか、里山相撲の真髄!みたいな。見えてこそ!というか……。
佐:あー。そうですかね……。 実は僕の同級生が整髪するんですけど、美容師やってて。本当にちょっと、ね、大変ですよ。
―楽しみですね~。くせ毛ですか?
佐:くせ毛です。
―じゃ、ある程度ふぁ~ってなるんじゃないですか。
秀:僕、切って思ったんですけど、意外と、切ったら薄くないっす。思ってたよりは……ね。
佐:まぁ、そうか。
―でも、それも引退相撲のお楽しみですね。PRなんかありますか。
佐:宣伝はうまいこと書いておいてください。
―そうですね、来て損はさせません!とか。
秀:ソン・ドンヨル*ですって(笑)。
*かつて中日ドラゴンズに在籍した韓国出身のプロ野球選手。
―なつかしい(笑)!! でも、本当に「記憶に残る里山関をさらに記憶に残す!」という感じですよね。
佐:はい! みなさんお待ちしております!
photo:村尾香織
里山引退・佐ノ山襲名 披露大相撲は9月28日(土)!チケット絶賛発売中。
【日時】2019年9月28日(土)開場11時、開始11時半、終了16時
【会場】両国国技館
【催し物】ふれ太鼓/相撲甚句/初っ切り/髪結い実演/十両土俵入り/十両取り組み/
里山断髪式/幕内土俵入り/横綱土俵入り/幕内取り組み
*催し物の内容は一部変更する場合があります。
【入場料金】1階席:マスA席¥46,000/マスB席¥42,000/マスC席¥36,000(いずれも最大4名)
2階席:イス席A¥8,000/イス席B¥4,000/イス席C¥2,000(いずれも1名様)
チケットのお求め・お問合せ
http://satoyama.basho-sumo.jp
電話090-9975-0928(月~土9:30~18:00)
佐ノ山親方(里山)&秀ノ山親方(天鎧鵬)ダブルサイングッズプレゼント!
ご応募を締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました。
佐ノ山親方(元・里山)・秀ノ山親方(元・天鎧鵬)のダブルサインが裏面に入った「おすもうさんクリアファイル」を3名様にプレゼント!
<ご応募方法>
件名を「佐ノ山親方プレゼント希望」としていただき、お名前、メールアドレス、「おすもうさん」サイトでおもしろかった記事を3つご明記のうえ、info@osumo3.comまでご応募ください。締め切りは2019年7月31日まで! 応募者多数の場合は厳正なる抽選のうえ、ご当選者のみメールにてご連絡いたします。
*お預かりした個人情報は、適切に管理し、プレゼントの発送やサイト制作の参考にさせていただく以外の目的で使用いたしません。
クリアファイルはおすもうさんオンラインショップで絶賛発売中!
佐ノ山 浩作 さのやま・こうさく(元前頭12枚目・里山 さとやま)
昭和56年5月31日生まれ。ふたご座のA型。鹿児島県奄美市出身。鹿児島商業から日大相撲部に進み、三保ヶ関部屋に入門。平成18年に日大の先輩でもある元小結・濱ノ嶋の独立に伴い尾上部屋に移籍。初土俵は平成16年三月場所、所要11場所のスピード出世で平成18年初場所で新十両、翌年平成19年三月場所で十両優勝を果たし、五月場所で新入幕。5場所で幕下に陥落するも、平成23年九月場所で2度目の再十両。その後十両と幕下を行き来しつつ、平成26年初場所で再入幕。平成30年十一月場所で引退、年寄・佐ノ山を襲名。四股名の里山は本名。
秀ノ山 貴由輝 ひでのやま・たかゆき(元前頭8枚目・天鎧鵬 てんかいほう)
昭和59年10月14日生まれ。てんびん座のA型。熊本県玉名市出身。文徳高校から日大相撲部に進み、尾上部屋に入門。平成19年初場所初土俵。平成23年七月場所で新十両、所要3場所で新入幕を果たす(平成24年初場所)。平成31年三月場所で引退、年寄・秀ノ山を襲名。