横綱・稀勢の里関とのおもひで話

秀男
本名・山木秀人(やまき・ひでひと)、元立呼出。1949年生まれ。1969年伊勢ヶ濱部屋に入門、同年三月場所で初土俵。桐山部屋を経て、定年時は朝日山部屋所属。2008年一月場所より呼出のトップである立呼出を務め、2014年十一月場所にて、惜しまれつつ定年退職。見事な呼び上げの美声で相撲ファンから愛され、「土俵の妖精」のニックネームも。

元立呼出・秀男さんがポツリポツリと語る、昔のおすもうのこと、そして今のおすもうのこと。5日からは秋巡業が始まりますが、秀男さんのとっておきの巡業のおもひでについて伺いました。

 

――この秋巡業から稀勢の里関が参加することになりました。秀男さん、横綱とは交流ありました?

1回だけね。沖縄巡業のときに食事に行ったよ。

――それはどんないきさつで?

沖縄巡業のときにね、知り合いの店にいつも行くんだけど、誰か関取連れてきてよって言われて。

――沖縄にお知り合いがいらっしゃるんですね。

元力士だよ。現役のころ、伊勢ヶ濱部屋で「高卒会」っていうのに入ってたんだよ。5~6人しかいなくて、もともとあったものに誘われて入った。

――どんなメンバーだったんですか?

たいしたのいないよ(笑)。

 

――えっ。まぁそう言わず……。

今まだ、若者頭やってる白岩ね(現:浅香山部屋)。あとはもういいか。

――いやいや。

あとは、十両まで上がった、清王洋(せいおうなだ)。体が大きいやつ。あとは、まぁ力士よ。

――裏方は秀男さんだけ?

そうそう。こういう会やってるんですけど、入りませんかって誘われて。年はみんなバラバラなんだけど、高卒っていう集まりでね。

――そのメンバーのお1人が今は沖縄で料理屋をされているんですね。

そうそう。で、誰か関取連れてきてって言われたけど、どうしようかなと思って。北太樹あたりは暇をもてあましてるんじゃないかなぁってね。あてずっぽうで誘ったら、来てくれた。

――北太樹関とは交流があったんですか?

いや、ぜんぜん。でも、若い衆連れて来てくれたよ。

――北太樹関と稀勢の里関は仲がいいようですね。

北太樹の付け人と稀勢の里の付け人が同期だったんじゃないかな。で、北太樹の連れてきた若い衆に稀勢の里の付け人から電話がかかってきて、稀勢の里も合流することになったの。

――横綱とはやはり相撲の話をされたんですか?

しないなー。それを忘れるために行くんだから。どうってことない話をしてたと思うよ。

――お二人ともお酒強いんですか?

そういう印象はあんまりないね。そこそこ飲めるねって感じ。

――やっぱり泡盛?

いや、おれは泡盛が嫌いだから。

――秀男さんは何を飲まれるんですか?

ま、とりあえずビールだね。でも最終的にはウイスキーかな。

――二次会も行かれたんですか?

うん。二次会はそこの料理屋の親父が行こうよっていうから、みんなで行ったんだ。そこへ今度は稀勢の里に電話があったんだな。「横綱からだ」って。白鵬だったんだよ。

――白鵬関と稀勢の里関はつながってるんですね。で、白鵬関に呼ばれて稀勢の里はそっち行っちゃったんですか?

一応、おれに聞いてからね。呼ばれてんですけどって。横綱(白鵬)じゃしょうがねえだろうなってね(笑)。

――稀勢の里関とはそれっきりですか?

いや、その後3年くらいたって茨城の巡業でもう一度一緒になったことがある。そしたら、向こうから「沖縄でご一緒しましたね」って言ってきてくれて。昔の話なのによく覚えてるなぁと思った。律儀な男だよ。まぁ、友だちが少ないってのもあるかもね(笑)。

 

秀男さんの著書をチェック!

「呼出秀男の相撲ばなし」

(現代書館)

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