五月場所で十両昇進を果たすも、負け越し。その悔しさをばねに臨んだ名古屋場所では、見事幕下全勝優勝! ひと場所で十両に戻ってきた白鷹山関に、新十両から返り十両までの胸の内など、いろいろ伺ってきました!
ただ十両に戻るんじゃなく、全勝優勝で戻りたかった
―まずは幕下全勝優勝、そして返り十両おめでとうございます。
ありがとうございます。
―先場所の幕下優勝の表彰は師匠の高田川親方からでしたけど……。
緊張しましたね(笑)
―親方も気持ちが入ってるのが伝わってきました。
うれしかったです。親方が表彰状渡すのは先場所が初めてだったんで、そのときに、幕下でしたけど賞状いただけて、うれしかったです。
―しかも全勝ですもんね。
そうですね。
―親方の「白鷹山」って声がマイクが割れるくらいでしたね。
もともと声でかいんで(笑)。
―いやいや……。見てて、こちらもじーんときました。
でも、もっと上の番付で優勝できたらいいんですが……。
―まだまだこれからありますんで。
はいっ。
―五月場所で新十両としてどうでしたか?土俵入りなど緊張しました?
土俵入りが一番緊張しましたよ。
―え! ぜんぜん落ち着いて見えましたけど。
いやいや。塩まくのは今まで何回かやったことがあったんで、所作はそこまで緊張しませんでしたね。あと、初めて締め込み締めたときとか、化粧回し締めたときも、やっぱり緊張しました。
―締め込みで相撲をとるのは、なかなか慣れませんでしたか?
でもそんなに……。締め込みの話はよく聞いてたんです。人によっては、毎回毎回締め込みの長さが変わってぜんぜんうまく締められないって聞きますが、ぜんぜんそんなことなくって、初日にぴたっと締まってからはずっとそんな感じでできました。体にはなじんでいるなと思ってました。
―取組で幕下の土俵と違うなというのは感じられました?
十両でも番付が下だったんで、土俵入りが終わってからすぐに締め込みに締め直してアップしないと間に合わないんです。幕下のときは相撲を取る30分~40分前からまわしつけてスタンバイしておけるじゃないですか。十両の場合は一回アップしてから土俵入りして、終わってからまたアップしなきゃいけないんです。それが最初は慣れなくて、しっかりアップしきれずに土俵に上がっちゃったり。そのへんのメリハリの付け方が難しかったですね。
―毎日取組があるのはどうでしたか?
疲れますね。スタミナあるほうじゃないんで、もっとしっかりスタミナつけて、体力を回復させる方法を考えないといけないなと思いました。部屋の関取衆に聞いたら、接骨院でマッサージやるとか、長めに風呂に入るとか、いろいろケアしてるって言われて……。僕なんにもしてなかったですから。接骨院も一回も行かなかったし。湯船にもつかったけど、あ~気持ちい~ってくらいで(笑)。
―じゃ、次はその教訓をいかして、ですね。
はい。疲れをなるべく残さないようにやっていきたいです。
―実は、五月場所後の6月に稽古を見せていただいたとき、なんとなく元気がないように見えたんですが……、場所後に気持ちが落ち込んだりしましたか?
落ち込むっていうか、本当にくやしかったですね。申し訳ないなって気持ちもありました。応援してくださってる方とか、昇進パーティーに来て下さった方々に対して。名古屋場所では、ただ十両に戻るだけじゃなくて、例えば優勝して戻れたらなとは思ってました。でも実は本当に優勝できるとは思ってなかったんですけどね。自分が一番びっくりしてます。
―名古屋場所に入るときの仕上がり具合は万全だったんでしょうか?
五月場所で問題だった部分はある程度改善できてはいました。親方のアドバイスと兄弟子のアドバイスももらって、形にはなってきていたと思いますし、そのおかげで勝てたのかなと。
好きな動物はゴリラ! いつか勝ちたいです!
―新十両のとき、個室にテレビを買われてなくて輝関と竜電関に「まだ買ってないの!?」とびっくりされてましたが、今回は買われました?
買いました。4K。ちょっとデカすぎるかなーって思うんですけど。前回、そう言われてちょっとくやしかったんで、2人よりでかいのを買いました(笑)。
―好きなテレビ番組は?
もともとテレビあんまり見ないんです。昼寝の時間に、ニュースバラエティみたいなのを見ながら、それをBGMがわりに眠りに入るという感じです。あ、見てないですね(笑)。
―4Kの意味がない!
ですね。でも、たまに夜にやってる旅番組とか見ると景色がきれいでいいです。
―好きな芸能人は?
吉瀬美智子さん。
―大人な感じですね。
最近のアイドルとかぜんぜんわからないんです。
―キレイ系の人が好きなんですね。
はい。
―好きな芸人さんは?
芸人さんだと、漫才のカミナリさんとか。なまりで突っ込む人。ちょっとなまりが懐かしいというか……、聞いてて懐かしいんで好きですね。
―好きな食べ物はなんですか?
肉です。何でも好きです。
―何肉でも?
鶏肉が一番好きですね。
―へー、珍しいですね。
ささみとかせせりとか脂のない部位が。
―へー。ちゃんと筋肉になることを考えて鶏肉?
それもありますけど、単純に味が好きなんです。
―ちょうどよかったですね。
鶏肉って安いやつでもおいしいんですよ。安い牛肉っておいしくないでしょ。
―確かに。
鶏肉は、高いのは高いのでおいしいですけど(笑)。
―お酒は?
好きです。
―何が?
ワイン、焼酎、何でも飲みます。ビール以外なら。炭酸がだめなんで。
―では、好きな動物は?
ゴリラです。憧れです。
―憧れ?!
いつか勝ちたいです。
―武井壮さん的な。
百獣の王ですね。
―ゴリラ、動物園に行ったら、めっちゃ見るとかですか?
(笑)いや……、めっちゃ見るというか……。見るからに力の強い感じがするじゃないですか。骨格も人間に近いし、見ててかっこいいなと思います。
―筋肉隆々な感じですもんね。イケメンゴリラっていましたよね? 名古屋でしたっけ。
*名古屋市にある東山動植物園のシャバーニ。
そう、名古屋一回行きたかったんですよ。
―残念。
でも、上野動物園に兄貴か弟がいるらしいんですよ。
―さすが詳しいですね。
知り合いのゴリラ好きからの情報で……。
―そんなゴリラネットワークが!
はい。
―ゴリラの動きを相撲に取り入れてみたりっていうのはあるんですか?
あ、親方もたまに言いますよ。「強い人は歩くときに膝を曲げて前かがみでゴリラみたいに歩くだろ」って。
―なるほどー。今後の相撲がますます楽しみです!では、次は好きな歌手は?
ブルーハーツ。ウルフルズ、あと竹原ピストルさん。甲本ヒロトさんに会ってみたいです。
―若いのに。ブルーハーツって親世代がリアルタイムでしょ。
親父は長渕派ですね。でも、僕はブルーハーツ。初めて聞いたのはリンダリンダだったかな。どこかで聞いて、小学生くらいからずっと好きですね。
―続きまして、ファッションについて。ジーパンとか迷彩柄パンツとか、いつもおしゃれなボトムスでいらっしゃるんですが、どこでお買い物されるんですか?
えー(笑)、ぜんぜんおしゃれじゃないですよ!
―みなさんジャージなのに、けっこう洋服的なものを着ていらっしゃるので。
ジャージはあまり好きじゃないんです。それより、ジーパンとか。買い物は、業者の方が部屋に持ってきてくれるんです。
―大きいサイズの!
東京はフジセのおっちゃんがカタログをもってきてくれるんです。ちょっと値切ってみるんですが、びた一文負けてくれません(笑)。
―サイズは何Lですか?
上は6L、ボトムスは8Lですね。
―何Lまであるんですか?
8Lです。
返り十両を確実にしての山形巡業
―明日の山形巡業、返り十両で行けてよかったですね。*取材日はちょうど山形巡業前日でした。
いやーでも番付はまだ幕下なんで。次の秋巡業では、山形はないですけど、初めて関取として回れるんで、楽しさ2割しんどさ8割くらい(笑)で。
―今まで付け人でまわったことは?
ありますけど、しんどいですよね。付け人でまわると。朝も早いし(笑)。
―おすすめの山形グルメはなんでしょうか?
ひきずりうどんっていうのがあって、ひっぱりうどんって言ったり地方によって言い方が違いますが、うどんをゆがいておいて、ゆがいた鍋ごとドーンと出すんです。で、どんぶりに醤油と納豆、かつおぶし、鯖缶とか、ぐちゃぐちゃに混ぜて、鍋からうどんをひきずって、それにつけて食べるんです。熱いんですが、夏に食べるんですよ。
―へー。おいしそう!
冷やすバージョンもあるのかもしれないけど、僕は食ったことないですね。
―家で食べるんですか?
そうですね。山形に帰るとひきずりが食べたいなーって思うことありますね。
―うどんは普通の形状?
ちょっと細いですね。スーパーにひっぱりうどん用のうどんが売ってるんですよ。
―じゃ、明日はそれが食べられますかね?
どうですかね。
―そういえば、化粧まわしが山形のご実家からってのがすごいですね。
あと、農協さんからもいただきました。雪若丸って米の銘柄あるんですが、一番下に金字で「雪若丸」って入ってるんですよ。(笑)
―なんか四股名っぽいですね(笑)。
そう。初めて僕を見る人がいたら、この人雪若丸って言うんだって思っちゃいますよね(笑)。再十両で最初にそれつけて行ったら、「あれ! この人雪若丸だったっけ? 新十両?」って思われますよね。
―もしくは返り十両で改名したのかな?ってね。
おもしろい化粧まわしですよ。
―へー楽しみです! では、最後に九月場所に向けて一言お願いします。
五月場所はふがいない結果だったんで、九月場所はみなさんの期待に応えられるように一日一番、精一杯がんばります。
白鷹山 亨将(はくようざん・りょうすけ)
高田川部屋所属。山形県西置賜郡白鷹町出身の平成7年4月13日生まれ。初土俵は平成23年五月場所。
Photo:Kaori MURAO