2014年の放送開始から、相撲ファンの間で話題をよんできた同番組。本場所前に、その場所を百倍楽しく見る極意を、元関脇・琴錦こと朝日山親方ががっぷり解説。相方の唐橋ユミさんとの掛け合いも見ものですよね。今回はいよいよ明後日(9月8日土曜日15:00~、BSフジ)に放送が迫った九月場所前の番組収録にお邪魔して、朝日山親方と唐橋さん、そして成田ディレクターに、番組制作の裏側を取材してきました! 前編では、収録現場の様子と、メインMC&解説の朝日山親方のインタビューをお届けします。
収録現場は今回から朝日山部屋に!
朝日山親方が中村親方として尾車部屋の部屋付き親方だったころに始まった同番組は、尾車部屋で収録をされていたこともありましたが、最近は朝日山部屋のお隣にあるくぬぎ山自治会館がお決まりの収録現場でした。が、今回は朝日山部屋の稽古場からお届けするという、相撲ムードあふれる収録に。
築2年のまだ真新しい朝日山部屋。稽古場は日当たりもよく、吹き抜けの気持ちい空間。琴錦時代の優勝額や親方の師匠である第53代横綱琴櫻の写真などが飾られています。
土俵をバックにセットされたMC席にお2人が座って収録スタート! 台本はおおまかな進行が書かれているだけで、親方のコメントはお任せ状態。なのに、ほぼNGなしに軽妙なトークを繰り広げる親方。唐橋さんとの息もぴったり。先場所(名古屋)の注目の取り組みを紹介する場面では、実際に取組を観ながらその場で親方が解説していきます。
この日の収録時間は当初の予定よりも早く約1時間半で終了。親方いわく「今日は珍しくトイレ休憩なしだったなー」。いつもは途中で親方のトイレタイムがあるそうです。
収録後は、視聴者プレゼント商品にサインを入れる2人。始終和やかムードで無事終了となりました!
九月場所前の放送は
9月8日(土)15:00~16:25 (BSフジ)
お見逃しなく!
Interview with Asahiyama Oyakata
素顔が垣間見れる力士企画は朝日山親方の発案!
―このお仕事が来た時、テレビの司会は始めてだったのでしょうか?
そうですよ。オファーがあったのはうれしい限りなんですが、不安だらけで。
―当時はまだ中村親方でしたよね?
そうですね。このお話は、現役のときにお世話になった方からのものだったので、受けた以上はがんばらないと思ったんですが、最初のころはあまり上手にはしゃべれませんでしたね。もう撮り直しばっかりでね(笑)。
―回数を重ねられて、番組も浸透してきましたね。
徐々にね。本場所では、木戸でもぎりの仕事もやってるんですが、お客さんに言われっぱなしですよ。「見てますよー」「楽しみにしてますよ」ってね。うれしいです。で、そのかいあって、名古屋場所でもその前の場所でも、新弟子希望者も来てくるようになりましたね。
―番組効果が!
そう。誰も見てないだろうと思いきや!
―いやいや! やっぱり親方の解説が的確でわかりやすいから、この部屋なら入りたいって思うんじゃないですか?
いや、それはわかりませんけど。弟子に対してはね、弱点を克服するよりも、よさを貫き通すとか、のばすほうがよいんで、そういうアドバイスをしてあげたられたらって思いますね。
―力士でもこの番組見てますって人多いんじゃないですか?
特に幕内でこの番組ビデオ撮ってるって人いますよ。
―知らない人いないんじゃないですか?
いや、十両力士にはまだ知られてないですよ。十両は私がインタビュー行かないから。幕内はほぼほぼ私がまわってますから、浸透してきてるんじゃないかな。
―だから、巡業特集のときも、支度部屋で「何かちょうだい」っていっても、みなさん快くくださるんですね。
そうなんですよ。あんなゴミみたいなもの*欲しいのかなって思うこともありますけどね。ははははははは。マニアにとってはうれしいんですかね。また集めてきます。まだ白鵬も稀勢の里ももらってないし。がんばります。
*2018年五月場所直前に放送された、朝日山親方が巡業の支度部屋をまわって力士から視聴者プレゼントをゲットする企画。テーピングのテープや、足袋の片方だけなど、意外なアイテムが飛びだした。
―4年半やってこられて思い出に残っているロケとか企画はありますか?
今、ケガで幕下まで落ちちゃいましたけど、天風ですね。いいキャラで、彼のおかげでこの番組の人気も出たと思うので、彼に対する思い入れというものは深いですね。また盛り返して上がってきて欲しいと思います。
―「天風が行く」ですね。彼に注目された理由は?
その当時、私が尾車部屋に在籍してまして、彼なら物怖じしないでテレビにも出てくれると思ったんで、最高な人物ですよね。けっこうね、カメラが回ってないとこではしゃべるくせに、回ったらしゃべらないって人いるんですけど、彼は回ってても回ってなくてもいっしょなんで。
―裏表がない?
ない子ですね~。最高じゃないですか~。この番組はね、相撲中継なんかの番組とは違って、ふだん相撲を見ない人でも楽しめる番組にしたいということを念頭にいろんな企画をしてきました。特に現役のおすもうさんの素顔ね。CM前とか番組最後に流れるようなコメントの時の笑顔ね。ああいうのが見られるのはこの番組だけじゃないかと思うんで。
―力士のキャスティングは親方も一緒に検討されるんですか?
いっちゃなんですが、ほとんど私が企画してるようなもんですよ~(笑)。
―そうなんですか~。じゃぁ、親方の人脈がものをいうわけですね。
ふだんから現役と接してますから。ふだんから仲良くしておけば、意外とみんな笑顔で接してくれるしね。私も番組の中では、しっかりと関取を立てますんで(笑)。
―これから番組で売り出していきたい、注目の力士っていらっしゃいますか?
やっぱり相撲が強ければいいってもんじゃなくて、キャラ的なものも考えないといけないじゃないですか。ここ最近この番組でも取り上げてる照強ってのがいるんですがね。ただ、成績もともなっていないといけないんで。十両のけつっぽにいたんじゃだめなんで、もう少し様子を見てみたいと思います。
―企画として今後やっていきたいと思っておられるものは?
力士それぞれ趣味があるんですよ。自転車とか、音楽とかね。例えば、松鳳山がバンド組みたいって言ってて、勢がボーカルで紅白目指すとかね。石浦と勢は自転車乗るのが好きだから、名古屋場所なら、自転車で名古屋まで3日で行けとかね。所持金1万円で(笑)!
―いいですねー。見てみたい!
見たいでしょ。いろんなことやらせたいんですよ。魚釣り大会とかね。スカイツリー登らせたりね。あははは。
―昔はおすもうさんの運動会とかあってすごい楽しかったんで、そういうのやってほしいです。
歌合戦はなんか考えてるみたいだけど、今時のおすもうさん歌うたいたがらないんですよ。歌うのは勢だけ(笑)。運動会もいいですよね。現役力士が喜んでやってくれるようになるためには、もっともっとこの番組を知ってもらわないとです。
―今まで、これはって企画をたてたのに実現しなかったのってありますか?
これはってのはね(笑)、九州場所の後、勢がスワンボートで魚釣りをしながら東京まで帰ってくるってやつね(笑)。
―(爆笑)すごい! 昔の電波少年みたいですね!
そうそう。電波少年世代なんでね。ヒッチハイクとか、考えたんだけど……だめでしょ。(笑)
―生死かかってますからね。
ま、なんかまた考えておきますよ。昔はそういう番組多かったですよね。たけし軍団なんて、バスをそのまま沈めちゃうとかね(笑)。
―お笑いウルトラクイズ的な!
そうそう。その世代なんでね(笑)。やりたいんですよね。
―親方の発想の源がお笑いウルトラクイズだったとは!
いや、それ以外にもバラエティ番組からはヒントもらってますよ。魚釣り企画は実現しそうなんですけど、今狙ってるのは、ワカサギ釣り。氷の薄いところで、うふふふふ。
―群馬の榛名湖とかで?
そうそう、薄いところで、どーんと落ちちゃうとかね! それ、狙ってますけども。
ワカサギ企画は果たして実現するかどうかはわかりませんが、魚釣りが趣味という力士は多いと聞きますので、今後も番組からは目が離せませんね! 朝日山親方、楽しいお話をありがとうございました。
朝日山 宗功(あさひやま・ひろかつ)
元関脇・琴錦。昭和43年6月8日生まれ、群馬県高崎市出身。現役時代は優勝2回、殊勲賞7回、敢闘賞3回、技能賞8回。平成12年9月場所で引退。平成28年に朝日山を襲名、千葉県鎌ケ谷市に朝日山部屋を創設。
次回、後編は来週公開予定です。唐橋ユミさんと番組ディレクターの成田理さんのインタビューをお届け。放送されなかったマル秘エピソードも満載です!お楽しみに!
photo:Kaori MURAO