「おすもうさん」の動画連載でもお馴染み、荒汐部屋のモルとムギ。昨年の11月には、4冊ほぼ同時というある意味事件(!)的な写真集の発売も話題になりました。これはテレビ番組『タモリ倶楽部』でも取り上げられたほど。どの写真集もモルとムギの可愛さ爆発なのですが、今回は前田悟志さんによる写真と充実の取材記事が好評だった河出書房新社からの1冊をご紹介します。
このお三方にお話を伺いました!
Photo: Maiko Kudoh
谷垣みのりさん(左、河出書房新社編集担当)
前田悟志さん、樋口かおるさんとは、過去にも猫の写真集を数冊制作。“チーム猫”として猫本の仕事仲間。
橘川麻実さん(中、取材・原稿担当)
フリーライターとして、猫のみならずアイドルや俳優などの取材も多数行う。相撲好きで本場所は地方まで、巡業にも赴く。
樋口かおるさん(右、編集・ブックデザイン担当)
編集者であり、デザイナーであり、だがしやさんでもある。楽しい猫ぐらしのためのウェブマガジン「ねこまぐ」nekomag.net/も運営。
仕事仲間であり猫仲間である3人が集結!
―この本を作られた経緯を教えてください。
樋口:荒汐部屋さんのモルとムギが話題になっていたのでぜひ会いたいと思って企画しました。今回のスタッフは“チーム猫”みたいな感じで、猫の写真集でご一緒していたんです。そこに相撲もからんでいたので、相撲好きの橘川さんに! ということで、この3人でやることなりました。
橘川:私と樋口さんは他の出版社さんでもご一緒している仕事仲間であるとともに、猫好き仲間でもあって。私は猫も相撲も好きなので「やります!」と即答しました。
―荒汐部屋にはそれまで行かれたことはあったんでしょうか?
橘川:いいえ、でもこの取材で初めて相撲部屋に行って稽古も見せていただき、本当に貴重な体験をさせていただきました。
読んでも楽しい記事ページが充実!
―写真がメインですが、読むページも充実していますね。
樋口:特にちゃんこを取材しているのは、荒汐部屋さんの本の中でもこの本だけじゃないでしょうか。これは渾身の私撮影なんです。
―カメラマンもされるんですか!?
樋口:実は諸事情により、急遽私が撮ることになって……。
―おいしそうです!
樋口:すっごいおいしかったです。ここの塩ちゃんこ。その年食べた中で、一番おいしかったものランキングに入ります。
橘川:おいしかったですね~。三角に切った油揚げが気に入って、自宅でも真似するようになりました。
樋口:それだけでなく、作るときの手際のよさも素晴らしかった。
橘川:部活みたいでしたよね。みんなが一斉に手分けして。
樋口:そうそう。誰かが唐揚げを揚げていくかと思えば、部屋の片隅では卵をバンバン割っていくとか。
橘川:みんな並んでごはんを取りに行って。まるで合宿のようでした。
―やっぱり部屋に通われたからこそできたページですね。あと福轟力さんと突光力さんのムギ愛対決も臨場感がありました。
樋口:ここは少し緊張しましたね。
―かなりムギ愛の対抗心がバチバチな感じですもんね。
谷垣:お2人ともムギ愛が深いですよね~。
―でも、福轟力さんがフクロウに浮気!?なんて記事もありましたね。
樋口:福轟力さんのツイッターに上がっていて「この画像ください!」ってもらいました。荒汐部屋の皆さんのツイッターもよい写真がないかよく見ていましたね。よい写真をみつけるとすぐさま記事にしてしまうので、力士の皆さんがびっくりされてました。
―そのほかにも撮り下ろしではない写真が結構掲載されてましたね。
谷垣:おかみさんから提供していただいた、モルやムギの昔の写真もあります。おかみさんからは贔屓にならないようにと、他の出版社さんと同じ写真をいただいたんです。でも、うちが一番使ってるんじゃないでしょうか。
―あますところなくって感じですね~。そのほかに、この本独自のページはありますか?
橘川:「荒汐部屋力士名鑑」というページですね。力士の皆さんにアンケートに答えていただいてまとめました。
谷垣:すごく細かい字で!
橘川:相撲専門誌に小さい字で家族構成やあだ名などが書いてあるページがあるのですが、それが好きで、ここはそんなイメージで作ってみました。
樋口:アンケートを渡したときに、力士が宿題をもらったような雰囲気で(笑)……。
橘川:ちょっと戸惑われていましたよね。
樋口:やる気なさそうに見せて、実は「お前、将来の夢なんて書いた?」など、部屋の隅でヒソヒソ話しながら、小学生の宿題みたいな雰囲気でしたよね。
3人:そうそう!!
橘川:なんだか男子っぽくて楽しそうでした。
―このアンケートの最後にモル派ですか?ムギ派ですか?って質問があるんですが、みなさんはどっち派ですか?
3人:え~~、うふふふふ。
橘川:猫好きは全猫を愛しているので(笑)。
谷垣:確かに2匹ともタイプは違いますけどね。
樋口:しいていうなら……。
橘川:モル派かな。
樋口:じゃ、私はムギ派。
谷垣:え~……、私は犬の三吉も好きですよ。
―三者三様ってことで。力士の中にも実は犬派って人いましたもんね。では、最後にお三方に挙げていただいた、“編集&ライター的ココを見て!”というページをご紹介したいと思います。
カバーに付いてる帯の色のヒミツ
カバーにかかっているピンクの帯。実はこのピンクは桃の色からきています。というのも、ムギが心を開く力士・福轟力さんの実家は農家。桃園で猫を飼われているそうです。
グラビアページのさりげない遊び心
見開きでモルとムギの写真を大きく使ったグラビアページがありますが、最後になぜか大波三兄弟の長男・若隆元さんが!しかも、バスタオル姿、そして「WATARU?」(←本名)とのセリフつき。実際にお風呂上りに撮影されたものだそう。これを見たおかみさんはちょっと笑っていらっしゃったとか。
肌色多めになってます
カバーのモルの後ろに大きな足が写り込んでしまってますが、これは相撲部屋ならではの風景であり、また猫目線ならではということで、この本では採用に。ちなみに力士は基本まわし姿なので、全体的にかなり肌色が多めになってます。
力士だって普通の若者!
大きな体に、髷を結い、まわし姿や着物姿という力士。古風で浮世離れしたイメージですが、普段はいたって普通の若者です。稽古が終わればみんなでスマホ片手にワイワイと普通の男子。そんな部屋の風景がとてもほのぼの。
クレバーでイケメンなのに気さくな蒼国来関
蒼国来関は、気さくで楽しいお人柄。ある日の稽古終わり、表に出てきて突然モンゴルの踊りを始めたそう。通りかかった明治座帰りのご婦人たちも「あら、イケメン」とうっとり。