平成30年九州場所で引退した元・里山こと佐ノ山親方の引退襲名披露大相撲を応援すべく、3回にわたって同部屋の弟弟子で平成31年大阪場所で引退した元・天鎧鵬(てんかいほう)こと秀ノ山親方といっしょに現役時代を振り返る企画です。第2回目は秀ノ山親方にいろんな“里山あるある”を伺いました!
新弟子と親方みたい(どっちがどっちかわかりませんが……)なツーショットになってしまいましたが、佐ノ山親方のネクタイは秀ノ山親方からの誕生日プレゼントだそう!
足の位置でわかる攻め方あるあるとは!?
―お二人は年も近くて同部屋とあって、現役中よくお相撲の話はされました?
秀ノ山親方(以下、秀):稽古中とかしてましたよ。こうやられたら嫌だとか。こうやられたらどうですか?っていうのを聞きながら。だから佐ノ山親方みたいなタイプはこうやられたら嫌だろうなっていうのがわかって、おかげさまでそんなに小さい相手が嫌じゃなかったです。
―ほー。攻略ができてたわけですね。
佐ノ山親方(以下、佐):だから逆にだめだったかもしれないですね。小兵って少ないじゃないですか。今幕内2人くらいかな。
秀:小兵には勝率がいいんですけど、数が少ないんで(笑)。
―絶対数が少ないんですね。
秀:そうなんですよ。大きくて強い力士と稽古するとやっぱり力がつきますし、把瑠都関と稽古してたときは最高位にいったんで。
佐:強かったね。
秀:把瑠都関は強かったですね。絶対勝てなかったです。小さい相手が苦手っていう方はいらっしゃいますけど、そっちの方が勝率的にはいいと思います。
-なるほど。では、そんな里山関を知り尽くした秀ノ山親方に“里山あるある”をお聞きしたいんですけど。
秀:技術的なことだと、こうなったらこうくるというあるあるがありまして。まず左入られて、右上手取るんですけど、そこから足のひき方でわかるんですよ。
―具体的には?
秀:左足を前に出したら、右上手取られてひねってくる。逆に左足を引いたら下手投げでくる。これは絶対的なあるあるです! だから、そのあるあるを出させないように足を出さず引かずの稽古をよくやってましたね。
お酒を飲むとどうなる?! お酒がらみあるある
―へ~。ではプライベートあるあるは?
秀:プライベートなあるある……。
佐:いいこと言ってヨ。
秀:今探し中です。
佐:ほら、お年寄りに…?
秀:いや! そんなことは言うようなことじゃないです! 優しいのは当たり前です!(笑)それ言うたらウソやと読者は思うじゃないですか!
佐:あー。そうか。じゃ、マジなやつ。
秀:マジなやつっすか。えーーーーーあるある……。あ、お酒飲んでる時、洋楽を歌う!
―洋楽!?(笑)
佐:あー。
秀:あと、美空ひばりの歌、「お祭りマンボ」めちゃめちゃうまいです。あるあるとかじゃないですけど。
―洋楽歌われるんですか?
佐:洋楽は気持ちですね。
―気持ち?
佐:気持ちで歌うようにしてます。はい。
秀:あるあるありました! 本当にこれはすごいと思うのは、勝っても負けても気持ちの波がないことですね。僕なんか、もう「くそー」ってなるんですけど、負けてもあまり乱れないというか。
―表情が変わらないですよね。感情は表に出さないタイプですか?
佐:出しますよ。でも15日間は、淡々とやったほうがいいと思うんです。気持ちの波を作らないように。
秀:それなんですよ。
佐:遠藤関とか貴景勝関みたいな感じがいいと思うんですよ。
―何を考えてるのかわからないっていう?
佐:そうですね。でも、それは相撲の時で、私生活の時もそれをやると大変ですけど(笑)。
―私生活で佐ノ山親方がはしゃがれる時は?
秀:酒飲んだ時ですよ。
佐:というかね、今までなんかあるたびに酒飲んで、酒にたよってる人生でした。勝っても負けても飲んで。
―ふだんどれぐらい飲まれてたんですか?
佐:一本とか。一升とか。味関係なく飲んでましたね。
―へ~。お二方はどちらがお強いんですか?
秀:タイプが違うんですよ。佐ノ山親方はわ~っと楽しいお酒ですけど、僕は寝ちゃったり気分悪くなったり。
―タイプが違うんですね。お好きなお酒は?
佐:ないです。とりあえず、酔うことが好きだったんで。
―それ、根っからの酒好きですね!
親方の意外な好みが判明!食べ物好き嫌いあるある
―お酒の話も出たんで、ごはん系でもう少しあるあるありますか?
秀:佐ノ山親方は飯へのこだわりゼロです!
―えー、そうなんですか?
秀:けっこう何でもいいって感じですよ。
佐:そんなことないですよ。
秀:でもそこまでこだわらないでしょ。あそこの何がうまいとかないでしょ。
佐:あー。そんなんはないね。すべて好きなんで。だからこだわりがないんです。
―きらいなものは?
佐:ないです。
秀:パセリも食べますからね。
佐:パセリとかね、パクチーとか好きです。
―香草が好きなんですね。
秀:オムライス頼んでも、僕はパセリとか目に入らないんですけど、佐ノ山親方は「あーちょちょちょちょ、それちょうだい」って。好きなんですよ。
佐:池上においしいオムライス屋あるんですけど、
―どこですか!
佐:でも味がちょっと変わったんです。パセリを乗せなくなったんです。もう、ぜーんぜんっ行ってないです。そこには。
秀:あそこのオムライスは日本一うまいですね。でも味変わったんですか?
佐:うん。
秀:僕はね、インドカレー屋さんにハマリすぎたことがあります。3年前(2016年)の8月、2日に1回行ってました。中毒になるんですよね。多分、香辛料ですかね。
―(笑)
佐:それ多分、すっごいストレスたまってたんだよ。
秀:あーー。僕、幕下落ちてたんです。2016年。
佐:ストレス発散だよ。
秀:腹減ったなぁと思ってちゃりんこ乗って、気づいたら店の前にいるんですよ。怖くないですか!?
―怖い!
佐:ストレス発散だよ。香辛料で。
秀:でも、一番ハマってたのは、矢口の渡しのほうですけど、次郎系のラーメン屋さんがあって、そこも1カ月間、2日に1回行ってましたね。多分そこはにんにくが中毒になるんですよね。
―中毒系多いですね~。
佐:そこはね、しょうがラーメンなんですよ。すごいおいしい。
―しょうが好きなんですか?
佐:好きです。
秀:しょうがとかね、体にいい感じのもの好きですよね? 九州行ったら、ほら、烏骨鶏の。
佐:烏骨鶏ラーメンね。おいしいんですよ。
―福岡ですか?
秀:博多です。汁は病人に飲ますくらいの精力剤だそうで。僕はどっちかというと、そこにたまたま隣接してる油そばの方が好き。
―爆笑!
秀:烏骨鶏ラーメンより、油そばの方が自分は元気になるなぁ~と思って、そっち食べてたんですけど……。佐ノ山親方が治療に行かれてるところの近くなんで、先輩は治療してから烏骨鶏ラーメン食べるまでが一連の治療っておっしゃるんですよ。針打って体の外から治療して、烏骨鶏スープを飲んで体の中から治療するって。
佐:東京でもそのラーメン屋さんのスープを送ってもらって。冷凍でね。
―飲んだら体が違うんですか?
佐:それが、勝ち星にはつながらなかったんですけど(笑)、なんかよかったんですよ。
―いやいや、現役を長く続けられたのは烏骨鶏ラーメンのおかげかも!
佐:それもあったかもしれないですね~。
―それと、パセリですね。
秀:あと、油そば食ってたらもっといったかもしれませんよ!(笑)
お二人の仲の良さが伝わってくるトークいかがでしたでしょうか。学生時代からの長いお付き合いだからこそのリラックスモードの軽妙な掛け合いをお楽しみいただけたと思います! 次回、最終回では現役時代思い出に残る場所について、そして親方仕事についてなど、秀ノ山親方のお茶目な天然キャラも炸裂のトークをご紹介します。サイングッズのプレゼントもありますのでお見逃しなく!
photo:村尾香織
佐ノ山 浩作 さのやま・こうさく(元前頭12枚目・里山 さとやま)
昭和56年5月31日生まれ。ふたご座のA型。鹿児島県奄美市出身。鹿児島商業から日大相撲部に進み、三保ヶ関部屋に入門。平成18年に日大の先輩でもある元小結・濱ノ嶋の独立に伴い尾上部屋に移籍。初土俵は平成16年三月場所、所要11場所のスピード出世で平成18年初場所で新十両、翌年平成19年三月場所で十両優勝を果たし、五月場所で新入幕。5場所で幕下に陥落するも、平成23年九月場所で2度目の再十両。その後十両と幕下を行き来しつつ、平成26年初場所で再入幕。平成30年十一月場所で引退、年寄・佐ノ山を襲名。四股名の里山は本名。
秀ノ山 貴由輝 ひでのやま・たかゆき(元前頭8枚目・天鎧鵬 てんかいほう)
昭和59年10月14日生まれ。てんびん座のA型。熊本県玉名市出身。文徳高校から日大相撲部に進み、尾上部屋に入門。平成19年初場所初土俵。平成23年七月場所で新十両、所要3場所で新入幕を果たす(平成24年初場所)。平成31年三月場所で引退、年寄・秀ノ山を襲名。
里山引退・佐ノ山襲名 披露大相撲
【日時】2019年9月28日(土)開場11時、開始11時半、終了16時
【会場】両国国技館
【催し物】ふれ太鼓/相撲甚句/初っ切り/髪結い実演/十両土俵入り/十両取り組み/
里山断髪式/幕内土俵入り/横綱土俵入り/幕内取り組み
*催し物の内容は一部変更する場合があります。
【入場料金】1階席:マス席A¥46,000/マス席B¥42,000/マス席C¥36,000(いずれも最大4名)
2階席:イス席A¥8,000/イス席B¥4,000/イス席C¥2,000(いずれも1名)
【チケットのお求め・お問合せ】
里山断髪式実行委員会
http://satoyama.basho-sumo.jp
電話090-9975-0928(月~土9:30~18:00)