『とっています』市原 淳

著者:市原 淳さん(アトリエにて)

おすもうは、スポーツの一面もありますが、野球やサッカーのように「プレイする」とはいいません。「と る」という言葉を使います。

この「とる」にはいろんな漢字があり、さまざまな意味があります。 この絵本では、「相撲をとっています」を皮切りに、なんと土俵上で!さまざまな「とっています」が展開 されていきます。ユーモアにあふれた言葉遊びは、子供から大人まで一緒に楽しめるもの。

絵本のほかに、書籍や広告のイラストレーションなども手がける、著者の市原淳さんに、この絵本の制作 のエピソードを伺いました。

『とっています』
市原 淳 著
(世界文化社発行)

「とっています」で一番最初に浮かんだがのが「おすもう」だった

―そもそも、いろんな「とってます」があるなかで、どうしておすもうの「とっています」を選ばれたのでしょうか?
今回のブックデザインをしてくださった、絵本評論家でもある小野明さん*の講座に参加したことがあって、そのときのテーマが「ながら絵本」を考えてくださいというものだったんです。「なんとかしながら、なんとか」みたいな。今までそんな絵本なかったねっていうことで。

そこで「とっています」という言葉がまず思いついて。「とっています」っていろんな意味があるから、いろんな「とっています」が順番に展開していったらどうだろうって。

その次に、「とるもの」ってなんだろうって考えたときに、「おすもうをとる」っていうのが一番に浮かんだんです。
*ブックデザインの際は羽島一希として活動

―おすもう好きだったんですか?
とくに好きだったわけでは……(笑)。だから、ちょっと申し訳ないんです。

―テレビで見る程度ですか?
ニュースで見るくらいですね。今の力士の名前もそんなにわからない程度です(笑)。

―それは意外!てっきりおすもうファンなのかと思っていました。
いえいえ。あと、小さい子におすもうがわかるかが心配だったのですが、この絵本でおすもうを知ってもらえたらいいかな、って。思い切って、力士がでてくる絵本にしました。

―ふたりのおすもうさんがでてきますが、モデルにした力士がいたりするんでしょうか?
いいえ、とくにモデルはいません。

―1人は鼻や髪の毛がちょっと外国人っぽいですが……?
はい。モデルというわけではありませんが、小錦とか武蔵丸とかのハワイ系力士のイメージです。

―そういえば、ちょっと褐色っぽい肌の色なんかがハワイっぽいですね。
最初はふたりとも日本人力士の想定でしたが、色をつける段階で、何か違いが出た方がおもしろいかなと思って。

―よく見たら、外国人力士はヒゲが濃いんですね!
はい。あと、もみあげもちょっと。

―本当だ!でも、これ、実は……とられてしまうんですもんね。

**何を「とっています」になるかは、ぜひ本を見てみてください!まさかの!です
そして、「とっています」は、はちゃめちゃな展開に!**

 

実は隠されたサブストーリーも存在!?

―ちょうちょが出てくるのがおもしろいですね。
力士がすごく大きくて強いイメージなので、それと真逆の、小さくて繊細なものを選びました。緊張感があるでしょ。

―そろーっとつかまないとですもんね。
まさか、力士がちょうちょをとるなんてっていう。

―このちょうちょ、このあともずっといるんですよね。
実は、最初からいます。

―あ!本当ですね。最初は行司さんの軍配にとまってます! 背表紙にも!カバーの袖にも!市原さんのプロフィールにも!
はい。

―ちなみに、今日のお洋服もブルーですが、アトリエもすべてブルー、そしてちょうちょもブルー。ブルーがお好きなんですか?
ええ、好きな色です。

―この蝶は、市原さん?
いいえ、そうではないです(笑)

**このちょうちょは、実はサブストーリー的な存在。ちょうちょは、一番最初から最後までずっとストーリーを見守っていますが、実は、ずっといることを示唆している絵があるんです。ぜひ、絵本を手にとって探してみてください。ヒントは「ずっといます」。種明かしはこの記事の最後に。**

 

デザインのディテールにもこだわりが

―この鮮やかな黄色がとても目を引きますね。
原画では、もうちょっとオレンジっぽい黄色だったんですが、ブックデザインをしてくださった羽島さんが、「馬鹿馬鹿しい絵本だから、これくらいの黄色のほうがいいんじゃない?」って提案してくださって。

―素敵だと思います!
そのほかにも、細かいデザインの工夫がたくさん凝らされています。

例えば、文字はまるっこい書体でおすもうさんらしい感じになっていたり、1箇所、句読点の「。」がおすもうさんの体で隠れているところがあるんですが、これはおすもうさんがたくさん食べて太ってしまったから、隠れてしまってるんです。

―ユーモアたっぷりですね!
あと、普通はキリのいいところで改行するのですが、わざと中途半端なところで改行して、ごちゃごちゃ感を出したり、ちいさい「っ」はほかより細くして飛び跳ねているような印象にしたり。

―言葉のおもしろさがいきるデザインなんですね。この題字は市原さんの手描きですか?
はい。黒の色鉛筆で描いた文字に、羽島さんが色を入れてくださいました。

―アウトラインの質感に鉛筆を感じますね。
うすい黄緑っぽい色は、羽島さんがシュールな感じをだしたかったとおっしゃっていました。原画をお持ちしますね。

―ありがとうございます。撮影させていただていもいいですか?
もちろん。

―では、「写真を〈とっています〉!」(笑)パシャッ

市原 淳
いちはら・じゅん
愛知県出身。大阪芸術大学デザイン学科卒業。
絵本をはじめ、キャラクターデザイン、書籍や広告のイレストレーションも手がける。2009年に制作したオリジナルキャラクター「Poppets Town」は、カナダDECODE社よりアニメ化。世界100カ国でテレビ放送される。代表作に『もいもい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ふたごのひつじ ポコとモコ』(ポプラ社)など多数。

<イベントおしらせ>

●Twitterキャンペーン
この本を読むと、無意識についつい「とっています」を探してしまいます。そこで、今回、おすもうさんと、版元の世界文化社共催キャンペーンとして、Twitterであなたのみつけた「とっています」を大募集! 市原さんの直筆サイン本やおすもうさんグッズが当たります。ご応募お待ちしております!

サイン中の市原さん。長いものが大好きという市原さんのトレードマークともいうべきダックスフンドバージョンのサイン、おすもうさんバージョンのサインなど、プレゼントのサイン本はすべて違うサインが。写真はおすもうさんのロゴを見ながら下描きなしで描かれているところ。

----------------キャンペーン詳細

期間:2021年2月26日(金)11時00分~2021年3月14日(日)23時59分(春場所初日まで)

概要;下記の条件を満たした方に、抽選で『とっています』サイン本またはおすもうさんグッズを6名様にプレゼント

  • おすもうさん.com(@osumo3cocon)世界文化社の絵本【公式】ワンダー(@mywonderjp)をフォロー
  • 引用RTで“あなたの見つけた「とっています」を投稿

 

●パネル展を開催中

場所:東京 三省堂書店 池袋本店

期間:2021年2月28日(日)まで

 

●ステイホームを応援!「とんとん相撲をつくろう!」型紙無料ダウンロード

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***ちょうちょの答え
絵本のトビラページにある題字の「ま」にもちょうちょがとまっています。
ちょうど「とっています」の「います」部分にとまっています。つまり、「ちょうちょが(どのページにも)います」というわけでした。***

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