相撲ファンも鉄道ファンも楽しめると大好評の『大相撲と鉄道』(交通新聞社)。著者の木村銀治郎さんにお話をうかがいました!
(cap)各地の鉄道をめぐる銀治郎さん。
輸送係歴は延べ約17年
全国の駅リニューアル情報も把握
――おもしろすぎて、読み始めたら止まりませんでした。書籍のご執筆は初めてだそうですが、大変だったことはなんですか?
書いたことの事実をひとつひとつ検証していくことですね。書いているうちに新事実が見つかって、それを裏付けるために資料をあたるんです。図書館に行ったり、知人の好角家に資料を見せていただいたり。時刻表をヤフオクで買ったりもしました。
――本書にあった寝台特急ゆうづるの時刻を確認する作業は、西村京太郎か、あるいは松本清張かというぐらい鉄道ミステリー感がありました。
能町(みね子)さんが描いてくださった、当時の時刻表を確認している私のイラストも最高ですよね。でも本当にあんな感じでしたよ。
――行司さんはそれぞれいろいろなお仕事をお持ちですが、銀治郎さんは輸送係をご担当されています。それはやはり鉄道にお詳しいからでしょうか。
いえいえ。それはたまたまなんです。初めて輸送係になったのは21歳でした。それから違う係になって、また輸送係になって。トータルで17年ぐらいは輸送係ですね。
――17年!!輸送係の仕事内容なども本書で紹介されていました。列車から降りたらどこに集まるか、バスをどこに停めるか、導線をどうするかなど考えることがたくさんありますね。
はい。最近は駅がきれいになったり、近辺が再開発されることもあるので、その都度ベストな移動を考えなければなりません。そのために、ふだんから日本全国の駅のリニューアル情報は把握するようにしています。
――日本全国!!どうやって情報を入手するんですか?
地方新聞や交通新聞を読んで情報を頭に入れておきます。
(cap)銀治郎さんの鉄道コレクションの一部。おすすめの駅弁は北海道・かなやの「かにめし」と福岡・東筑軒の「かしわめし」だそう!
めちゃくちゃ厳しくて
めちゃくちゃ優しい親方との30年
――地方巡業の列車移動での座席割について「叶えられる要望は、たとえそれが些細なことであったとしても、なるべく叶えてあげたい」という記述があり、力士への思いがこもっていてジーンときました。本書では出てこない力士とのエピソードがあったら教えてください。
遠藤関がケガをしていたときがありました。力士と隣同士だと足が曲げられなく辛いので、私の隣に座ってもらいました。
――遠藤同士で横並びですね!(銀治郎さんの旧姓は遠藤さん)
そういうピンポイントの要望もそうですが、誰と誰が同郷だとか、同学年とか、同じ大学だとか、そういった人間関係もインプットしています。仲がいい人と席が近いと、多少席がきつくても文句は出ません(笑)。長い巡業を少しでも快適に過ごしてもらうための工夫です。
――銀治郎さんは子どもの頃から鉄道と相撲のファンだったそうですが、鉄道の道に進もうとは考えなかったのですか?
それはまったくないですね。鉄道は趣味です。仕事にするのは相撲で、行司になると決めていました。
――志のある少年だったのですね。峰崎部屋とのご縁を教えてください。
私は墨田区の出身で国技館も割と近所だったので、東京場所中は朝、当日券を買ってから学校に行き、放課後、相撲を観に来るという生活を送っていました(打ち出し後は野球観戦へ)。当時、木戸(チケット売り場)にいたのが峰崎親方で「学校行ってるのか?」とよく聞かれました(笑)。行司になりたいと思っていたので、親方に話をしたら「うちの部屋に来るか?」と。中学を卒業してから30年以上お世話になりました。
――峰崎部屋は親方の停年にともない、三月場所を最後に閉鎖となります。銀治郎さんからみて、どんな親方ですか?
めちゃくちゃ厳しくて、めちゃくちゃ優しいです。
――伝わってきます!峰崎親方のめちゃくちゃ優しいエピソードが本書にもあり、師弟愛にグッときました。
大阪場所の宿舎の私の部屋は、窓から列車が見えるトレインビューで、ずーっと見ていることができました。それもいい思い出です。
部屋がなくなるのはさびしいですが、そうやって続いていくのが相撲界なので、これからも頑張ります。
――最後に、銀治郎さんの好きな列車旅を教えてください。
景色がよくて、食べ物がおいしくて、温泉がある。この3つがポイントです。特に好きなのは北海道の釧網本線。今はコロナでなかなか行けませんが、落ち着いたら地方の鉄道を楽しみたいです。
木村銀治郎(きむら ぎんじろう)
昭和49年生まれ。幕内格行司。平成2年三月場所初土俵。平成26年十一月場所幕内格昇進を機に三代・木村銀治郎を襲名。相撲史にも造詣が深く、テレビやラジオ、雑誌などでの相撲普及活動にも力を入れている。
『大相撲と鉄道 きっぷも座席も行司が仕切る!?』
木村銀治郎著 イラスト:能町みね子(交通新聞社新書)
900円+税
PRESENT
銀治郎さんにサインを入れていただいたこの本を1名様にプレゼントいたします!
件名を「大相撲と鉄道希望」としていただき、お名前、メールアドレス、おすもうさんの記事で面白かった記事を3つご明記の上info@osumo3.comまでご応募ください。締め切りは2021年4月15日まで。
応募者多数の場合は厳正なる抽選のうえ、ご当選者にのみメールでご連絡いたします。
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