佐田の海インタビュー〜夏場所好調の秘密とヤクルト愛 編〜

令和4年夏場所は優勝争いにからむ大活躍を見せ、新入幕以来8年ぶりとなる三賞(2回とも敢闘賞)を受賞した佐田の海関に、夏場所好調のわけ、年齢とともに得たもの、東京ヤクルト・スワローズのことなど、伺いました! サイングッズのプレゼントもあります!

 

朝、布団から出たときの一歩からわかる足の裏の柔らかさ

―先場所(令和4年夏場所)はすごいご活躍でしたね。

そうですね。体がよく動いたので、攻めも早くてよかったと思います。

 

―調子がよかった要因は?

日々の積み重ねじゃないですが、偶数月、つまり4月の稽古とトレーニングと体の手入れがすごくうまくいったのかなと思います。

 

―コロナといえば巡業がありませんでしたが、その影響どうですか?

巡業がない分、体の手入れとかトレーニングに費やす時間が取れたと思います。

 

―ポジティブに活かされていたんですね。

いいように考えるしかなかったですね。

 

―ほかのインタビューでおっしゃっていましたが、今場所は「土俵を包んでいる感じ」があったとのこと。具体的にはどういうことだったのでしょうか?

土俵に立ってるだけで、自分の足が土俵を包んでいるような感じなんです。

しっかり足の裏が柔らかくなってくると、そんな感覚が得られるようになります。

コロナになってから、いろいろと考える時間もあったので、どうやったら足の裏を柔らかく保てるかな、とか、いいときの感覚と悪い時の感覚ってどんな感じだろうかとか、どうしたらもっとよくなるかなと考えていましたね。

相撲って、昔から親指をかむって教えられるんです。それは常にやっているつもりでいたんですが、足の裏が柔らかくて立ってるだけで土俵の砂を包んでいるっていう感覚があるときに親指に力を入れると、もっと足の感覚が決まるというか。その感覚が先場所は15日間続いていましたね。

 

―それは国技館の土俵だけじゃなくて稽古場の土俵でもその感覚はあったんですか?

はい。朝起きてからの一歩目で、今日の足の状態はいいなってところからスタートしてます。

今日はちょっと硬いのかなという日もありますが、足の柔らかさを維持できるようなことを朝のうちにちょっとやったりします。

 

―どういうことをされるんですか?

たとえばボールでコロコロしたりとか、あとは説明が難しいんですが・・・足指のトレーニングがあって、それもコロナになってから教えてもらって、やるようになりました。そういう積み重ねが今出てきてるのかなと思います。

 

―この2年間で足の感覚がだいぶ変わった感じですか?

はい。それと、年齢を重ねてきて考えることが多くなって、若いときには考えつきもしなかったというか感覚としてもわからなかったことが、わかるようになってきたと思います。

 

―理想の足の柔らかさはあるんですか?

今は今ですごくよいと思うんですが、人間は欲が出てくるものですから、もっとよくなるんじゃないかなって思ったりしています。

これが、その柔らかい足の裏

 

―調子がよかった中でも、今場所で見つかった課題とかはあるんでしょうか?

昔からの課題ではあるんですが、今場所は一山本戦で相手が背中を見せた瞬間、「あ、勝った」と思ったんです。

 

―見てるほうも思いました。

そう思ったらだめですね。そういう経験は何回かあるんですが、それでもあの瞬間勝ったと思ってしまうんです。勝ったと思ってしまったら大体負けるんです。最後まで何があるかわからない。

 

―物言いがついた取組もありましたが、あれは感覚的に大丈夫って確信はあるんですか?

大丈夫と思ったのに手を挙げられて、ひやひやしました。豊昇龍戦では、勝ったと感覚ではわかったんですが、物言いがついたので、あれ、なんかしちゃったかな、とか、足出ちゃったのかなって、心配になってしまいましたね。

 

―力士の大先輩であるお父様(先代・小結佐田の海)から何か言葉などはありましたか?

先場所は「お前の相撲人生の中で、今が一番強いな」って言ってもらえました。父親は32歳になったばっかりのときにやめているので、今35歳で現役で幕内で相撲をとれていることとか、今場所は優勝争いに名を連ねて、そういう中で相撲をとれていることは羨ましく思ってると言われましたね。

 

―お父様と相撲の話は結構されるんですか?

そうですね。電話してても相撲の話ばっかりじゃないですかね。

 

―お電話はよくされる?

場所中は負けたときとか。相撲がないときは2週間に1回ぐらいとかでしょうか。本人の中で気づいたこととか思い出したことがあったら、かかってきます。

 

夏場所中に迎える誕生日と年齢のこと

―多分毎年だと思いますが、夏場所中にお誕生日(5月11日)があるじゃないですか。場所中ですがお祝いは?

そもそも誕生日がめでたいって年齢でもないですし(笑)……。家族には何もしなくていいよって言ってるんですが、ケーキとかは用意してくれてました。ケーキは子供の楽しみだと思うので……。

 

―部屋住みのころは?

何もなかったと思いますね。

 

―では、誕生日だから特に何もなくいつものように過ごす?

場所中なので、相撲の事考えるしかないですね。

若いうちはいいかもしれませんが、年齢重ねると、誕生日がきたら引退が近づいてくる感覚もあるんでね・・・めでたくもないのかな・・・と思います(笑)。

 

―歳を重ねられたからこそ見えてくるものもあるとおっしゃってたので、悪いものでもないような気もしますが。

そうですね。去年は十両に落ちて、なかなか勝てなくて、体も思うように動いてくれなくて、なんかこうやって力士って終わっていくのかな……とか、年齢だからかな……とかそんなことばっかり考えてしまったんですが、でも、衰えることばかりじゃなくて、年齢を重ねてるからこそ、積み重ねてきたものがあって、積み重ねたことがあるから、まだまだがんばらないといけないなと思うこともある。

 

―ポジティブに考えられるようになったきっかけはあったのでしょうか?

師匠とおかみさんが励ましてくださったり、電話をくれる人もいたりして、がんばんなきゃと思いました。

まだまだやめるわけにはいかない。

 

野球愛とヤクルト愛について

―佐田の海関といえばヤクルトファンとして知られていますが、小さいときからヤクルトファンなんですか?

はい。小学校低学年から。

 

―最初に好きになった球団ですか?

そうです。

最初に野球を見に行ったのが東京ドームのヤクルトー巨人戦で、ヤクルトが勝ったゲームです。試合後にヤクルトの荒井(幸雄)選手に会わせてもらって、バットをもらったんですよ。そうすると、子供って単純だからヤクルトファンになるじゃないですか。

それと、うちの父親がまだ親方をやっているときは、年の半分は東京にいないわけです。それで、幼馴染の一番仲がいい子のお父さんもヤクルトファンだったんですが、そのお父さんがよく神宮球場に連れて行ってくれて。外野席で応援して、神宮球場歩き回ってみたいなのがしょっちゅうでしたから、ぶれることなくヤクルトファンですね。

 

―愛知県の犬山にお住まいだったこともありましたが、そのときは、(中日)ドラゴンズに心は動きませんでした?

友達と野球見に行くとなると、みんな中日ファンじゃないですか。

 

―ですよね。

自分はヤクルトファンではありますが、野球を見ること自体が好きだったので、ヤクルト戦は外して見に行ってました。自分だけ我慢すればいいんで。

 

―純粋に野球を楽しむ?

はい、そうです。

 

―ヤクルトのホームの神宮球場ですが、「神宮のここが好き!」というのはありますか?

やっぱり、野球って外で見るのがいいなと思うんです。神宮は夏でもそんなに暑くなくて、風が通って気持ちがいいし、神宮球場は一番好きですね。

 

―神宮球場の過ごし方とかあります?何食べるとか。

何も食べないです。並んでるじゃないですか。並んでたら野球が見れないから。メガホン持って応援とかはしないです。ただただ、野球を生で見て、バットにボールが当たった音とか、今はよく聞こえますし、その音も気持ちいいですね。

 

―ヤクルトといえば、ベテラン石川雅規投手ですが、おすもうさんでは、同郷同学年ということで押尾川親方(当時豪風)と対談をしていただいたことがあります(対談を読む)。そのなかで、石川さんが年を重ねてまだまだ野球がうまくなれる気がするっておっしゃてたんですが、佐田の海関もさきほど、年を重ねてきて発見があるとお話いただいたのが重なりました。

そうですね。僕も、石井コーチ(ヤクルト投手コーチ)が、石川投手は若い子からもいろいろ聞いて吸収しようとするってお話されているのを読んだことがあって、やっぱりすごいなと思います。

 

―そういう姿勢がね。

やっぱり探究心があるというか。そういう気持ちがあると長く続けられるのかな。自分もこうしたらもっとよくなれるかなとか、考える時間が歳を取って長くなりましたし。

 

―若い衆からヒントをもらったりするようなことはあるんですか?

ありますよ。むしろ教えてもらってます。自分は中学まで野球やってて、アマチュアの相撲は未経験で大相撲に入ってきましたが、アマチュアの技術ってレベル高いんです。だからアマチュア出身の若い衆にこれってどうやってやるのって聞いたりしますね。

 

まだまだ探究心をもって上を目指されている佐田の海関。長くご活躍されるのを楽しみにしています!

次回は、お人柄に迫る一問一答編をお届けします!

↑編集部からの差し入れを手に笑みがこぼれる佐田の海関。袋の中身はスワローズバスタオル。

 

佐田の海貴士(さだのうみ・たかし)
昭和62年5月11日生まれ、熊本県出身。平成15年春場所初土俵、平成22年名古屋場所で新十両、平成26年夏場所で新入幕と同時に敢闘賞受賞。三段目優勝、幕下優勝、十両優勝各1回。令和4年夏場所では11勝4敗で敢闘賞を受賞。

去年に作った部屋の浴衣。和柄が入った素敵なデザインは出来山親方(元幕内佐田の富士)のおかみさんだそう。

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写真/Tomoko HANAI

*取材は感染対策を実施して行い、インタビュー中はマスク着用にて、インタビュー後の撮影時のみマスクを外していただきました。

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