令和6年十一月場所は新十両で10勝を挙げ、初場所にも期待がかかるウクライナ出身の安青錦関。とっても真面目でお茶目なお人柄に迫るスペシャルインタビューをお届けします!
さらに、関取第1号が誕生した安治川部屋のお話を師匠の安治川親方に伺いました。
最後には、安青錦関のスペシャルなプレゼント企画もあります。お見逃しなく!
貴乃花と朝青龍の取組を見て力士ってかっこいい!と思った
ーまずは相撲をはじめたきっかけから教えてください。
子どものころから元気で、親はその元気を何かスポーツに活かしたいと思ったみたいです。それで、近くのスポーツ施設に行ってみたら、ということでまずは柔道をはじめました。
そこではいろんな競技をやっていて、柔道のほかに相撲やレスリングもやっていました。柔道よりも、なんとなく相撲のほうがおもしろいなと思って、相撲をやるようになって、そのあとレスリングもはじめたという感じです。
ーウクライナには、相撲だけの道場っていうのはなかったのでしょうか?
ないです。相撲もレスリングとかと同じマットの上でやっていて、ヨーロッパの相撲の大会とか見ても、なんとなくレスリングっぽいです。
ー柔道〜相撲〜レスリングという流れだったんですね。ウクライナでは大相撲中継は見れたんですか?
やっていなくて、YouTubeで見ていました。
はじめて見た取り組みは、貴乃花さんと朝青龍さんの、モロ差し入られて上手げの一番。これを見て、自分もやってみたいな、力士ってかっこいいなって思いました。
ー師匠の当時・安美錦は、貴乃花さんとも朝青龍さんとも取り組み経験があるわけですが…
部屋に入ったばかりのころ、一緒に車に乗ってると、親方と一緒というよりは、「安美錦と一緒に車に乗ってる!!」って感じでした(笑)。
ーあの安美錦だ!って(笑)
そうです。
ーほかに憧れの力士はおられますか?
3代目若乃花さんと、若隆景関です。
小柄というか、体がそんなに大きくない力士ですね。自分に体型が似ている人の相撲を見て勉強しています。
ーどちらも上手い力士ですよね。
はい。いろいろ盗んでいます。
ー若隆景関とは稽古も一緒にされたとか?
先場所前の出稽古で荒汐部屋に行って、本当にいろんなアドバイスをもらいました。
好きな『ジャンク・スポーツ』に出られたらいいな
ーそれにしても日本語がお上手です。ウクライナにいた頃から勉強されていたんですか?
いいえ。してないです。
ー入門前は関西大学におられましたが、そのときに?
いいえ。留学していたわけではないし、稽古しかしていなかったので、日本語は部屋に入ってからです。
ー部屋の力士たちと話すことで?
そうです。それが一番大きかったです。
ーそれはすごい。日本のテレビとか見ますか?
あまり見ないですが、知っている人がでているとちょっと見たり。
ー好きな番組は?
『ジャンク・スポーツ』(フジテレビ)です。いつか出れたらいいなと思います。
ーすぐオファーきますよ!!お話も上手だし。
話せるだけで、話は面白くないです(照)。
ーいやいや。ほかのスポーツ観戦は?
格闘技系は好きなのでよくみます。
あと、柔道はオリンピックもずっと見てました。日本に来る前、柔道をやっていて、実はあまり好きではなかったんです。柔道着を掴んでやる感じとかが……ちょっと嫌いでした。でも、日本に来てから、意外におもしろいなと思ったりしてます。もう一回やってみたいなとも思います。
ーぜひ!
でも、柔道だったら弱いです…。
日本食はあっさり系が好み!?
ー日本食は大丈夫でしたか?
全然大丈夫です。
ー苦手なものは?
…鶏皮です。
ー脂っこいのが?
そうですね。あと、梅干し。
ー師匠と同じですね。
でも、師匠は食べられるようになったらしいです。本当かわからないですが(笑)。
ー好きな食べ物は?
お肉。でも、魚もなんでも食べます。
ー好きなちゃんこ(鍋)は?
湯豆腐ちゃんこです。
ーわりとさっぱりしたものがお好き?
そうですね。水炊きとか。
ー水炊きは鶏皮入ってますけど。
鶏肉は皮をとってから食べます。皮とってると、親方に「お前何してるだ!」って言われます(笑)。
ー九州の名物に鶏皮だけ串にささったやつありますけど、九州場所で食べました?
いや…絶対に食べないです!
ーあれは鶏皮ダメな人でも食べられそうですけど。ところで、関取に上がる前はちゃんこ番もされてたんですよね?
してました。でもめっちゃマズイです。
ーお料理苦手ですか?
日本に来るまではやったことなかったですし、ウクライナの料理だと味付けは塩こしょうくらい。でも、日本料理は、しょうゆのほかにみりんとか、だしとか大変。
ーなるほどね。ウクライナ料理が食べたくなりませんか?東京にはウクライナ料理のレストランもありますが。
何ヶ月か前に行きましたが、最近はあまり行ってないですね。ウクライナ料理を食べたいというか、お母さんの作ったものが食べたくなりますね。
ーやはり母の味が一番ですよね……。
もっと上の番付の人とやってみたい
ー入門してから所要6場所で新十両、その場所で10勝と、番付を駆け上っていますが、このスピードはどう感じておられますか?
早いなと思います。
ーちょっと怖くなったりという感覚は?
それはないです。むしろワクワクというか、もっと上とやってみたいという感じです。
ー10勝という数字は?
まだまだです。1/3も負けていますし。
ー対戦してみたい力士はいますか?
もちろん、横綱・大関とやってみたいです。強い人に勝つためにやっているんで。
そのために、まずは体を作って。全然足りないところだらけですので。
ー体重は今がベストですか?
いや、もっと増やしたいですね。
ーでは、鶏皮も食べないとですね。
皮はいらないです!肉だけで(笑)
ー笑! 初場所も期待しています!
[安青錦関をよく知るための一問一答]
Q 好きな色
A 青とピンク
Q 好きなアーティスト
A 日本なら河島英五さん。「時代おくれ」とか。
海外ならアメリカのヒップホップ。
Q 趣味
A 筋トレ
でも、足の筋トレはあまり好きじゃない。
Q 自分を動物に例えると
A それは一番難しい。
Q 好きな動物は?
A オオカミ。かっこいいから。
Q 犬派?猫派?
A 犬(即答)。
ー猫は苦手?
苦手というより、嫌い。なんか…気持ち悪い…。
Q 仲のいい力士
A よく話すのは若碇関や、教習所が一緒だった阿武剋関とか。
Q 部屋近くのお散歩スポット
A 木場公園
Q 親方の好きなところ
A なんでも話せて、ちゃんと聞いてくれて答えてくれるところ。
安青錦 新大
あおにしき・あらた
安治川部屋所属、本名はダニーロ・ヤブグシシン。平成16年3月23日生まれ。ウクライナ出身。
令和5年十一月場所で初土俵、負け越しなしの所要6場所で新十両。令和6年十一月の新十両場所は10勝を挙げる。
師匠・安治川親方ミニインタビュー
ーここで部屋開きをされて1年半が過ぎましたが、この地を選ばれた理由は?
縁があったんですね。結婚したときに、すぐ近くに住んでいまして、今回、部屋をつくるにあたって場所を探していた時に、初期の段階でこの土地の話がありました。そのときはもう少し探してみようとなったのですが、結局はここに戻ってきました。
古い地図を見ても、昔からある地域で、歴史が感じられるし、公園も近い、美術館も近い。
ー「深川江戸資料館」も近いですね。
この間行ってきました。横綱大鵬顕彰コーナーもあってね。とてもいいところです。
ー部屋を新築されるにあたってこだわったところは?
稽古場でいえば、明るさ。稽古場ってどんよりするじゃないですか。だから、木の色やライトで明るくしています。
ー確かに。明るいです。
相撲部屋ってなんかもっと暗いでしょ。本当はもっと明るい方がいい。
あとは、力士たちが生活するなかで、相撲の世界にいるっていうのを意識づけたいというか、すりこませたいというのがあって、相撲の錦絵をかざったりしています。ここで生活しながら、ぱっと見て認識できればいいかなと思って、いろいろ工夫して作りました。
ー皿土俵にされている理由は?
俵があると残れるというのはあるけれど、打ったりすることもあるので。皿土俵で残れれば、俵なら残りやすくなるだろうし、そういう面でも皿のほうがよいかと思っています。
ー親方は早稲田大学(大学院スポーツ科学研究科)で学ばれましたが、それが活かされている部分ってありますか?
学校で学んだことも、そこでの出会いも含めて、部屋をやるうえで役に立っています。外の世界から相撲の世界に目を向けられたのはとてもよかった。外からの視点で物を考えられるようになったという点で、相撲部屋の運営に活かされています。
あと、相撲を応援したくても仕方がわからない人も多い。開かれた部屋を目指して、相撲を応援してくれる人をどんどん増やす工夫をしていきたい。
その一環として、私もおかみも早稲田で学んだので、「稲門相撲會」(稲門会は早稲田の卒業生の団体)というのを作ったんです。いろんな稲門会に顔を出して、相撲を広く知ってもらえるようにと思います。
ー早稲田の相撲部とのつながりは?
一緒に稽古をしています。力士たちも、環境が変わるのはいい稽古になりますから。
ー早稲田といえば、おすもうさんでも「早稲田杯」*をご紹介したことがありますが。
日が合えばぜひ顔を出したいと思っています。
*早稲田大学OBで早稲田大学相撲部特別参与のデーモン閣下が審判長を務め、同じくOBで特別参与のやくみつるさんも関わっておられる、早稲田生のための相撲大会。→記事を読む
ー稽古見学は実施されていますか?
まだ一般の方は受けていません。力士も対応できる人数がいませんから、ちょっとずつですね。今は後援会で見学会をやったり、海外の方がファミリーで来られるくらいです。せっかく海外から興味を持ってきてくれたのだから、そのときは説明しながら稽古を見てもらったり、男の子は土俵におりて力士を押してみたりといった体験をしてもらったりね。工夫しています。
ー最後に安青錦関のよいところはどんなところでしょうか。
相撲が好きで、自分でいろいろ相撲について知ろうという気持ちが強いところ。そういう姿勢で下の子達を引っ張っていく存在になってほしいです。
ー稽古場でもすでにそのような存在感がありました。これからも安青錦関はもちろん、安治川部屋、期待しています!
安治川 竜児
あじがわ・りゅうじ
元関脇・安美錦、昭和53年10月3日生まれ、青森県西津軽郡深浦町出身。
平性9年一月場所で初土俵、平成12年一月場所新十両、同年七月場所で新入幕を果たす。令和元年七月場所で引退、安治川襲名。技能賞6回、殊勲賞4回、敢闘賞2回。引退後に早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程で学び、修士論文のテーマは「相撲部屋におけるおかみさんの役割」。令和4年12月に伊勢ヶ濱部屋から独立し、安治川部屋を再興、令和5年6月に現在の部屋で部屋開きを行った。
クイズに答えて
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クイズ
Q安青錦関が嫌いな食べ物は?
<応募方法>
件名を「安青錦プレゼント」としていただき、クイズの答え、お名前、メールアドレス、おすもうさんサイトで面白かった記事を3つご明記の上、info@osumo3.comまでご応募ください。
締め切りは2025年1月31日まで。応募者多数の場合は厳正なる抽選のうえ、ご当選者にのみメールでご連絡いたします。*お預かりした個人情報は適切に管理し、プレゼントの発送やサイト制作の参考にさせていただく以外の目的で使用いたしません。
「日本語よりウクライナ語のほうが難しいな…」とつぶやきながら、一生懸命書いてくださいました!
photo/Tomoko HANAI