秋のおすもう文化講座~おすもうことば・おまけ~

2回にわたってお届けした「おすもうことば」。おすもうから派生して、日常で使われるようになったものをご紹介しました。最後はおまけ企画として、おすもうの世界だけで使われている「おすもうことば」を集めてみました。さっそく今日から使ってみてください!

 

【あ行】

いい胸(イイムネ)

ぶつかり稽古で胸を出すとき、よい稽古相手となること。そんな力士のことを「いい胸をしている」という。おっぱいのことではありません。

 

痛い痛いを決める(イタイイタイヲキメル)

仮病で稽古をさぼること。

 

えびすこ(エビスコ)

大食漢、あるいはお腹いっぱい食べること。七福神の恵比寿神をまつる年中行事からきた言い回しです。この行事がたくさん食べる習わしであったことから「えびすこう」が縮まって「えびすこ」に。「えびすこが強い」「えびすこをきめる」「えびすこ横綱」などと使われます。

 

お米(ココメ)

お金のこと。力士が親方からもらうおこづかいや給金など。江戸時代に大名のお抱え力士が、武士と同様に給料としてお米を支給されていたことに由来。「お米を借りる」は借金することで、「お米が切れる」というのは金ばなれがよいということで、気前がよいことになります。

 

押っ付ける(オッツケル)

本来、相撲では相手の差し手や突っ張りを防ぐ技のことですが、裏用語としては相手の懐をあてにしてごちそうになること。同じ意味で「押す」ともいいます。

 

お手上がり(オテアガリ)

お金がまったくない「一文無し」のこと。「お手上げ」「おてこ」「お天気」などともいい、「お天気」はよく晴れてカラカラに乾くことから懐もカラカラになるという意味。

 

【か行】

顔じゃない(カオジャナイ)

いわゆる「10年早い」と同じ意味で、力士として実力も貫禄もまだまだということ。その場に顔を出せるほどの身分ではないこと。

 

かます(カマス)

物を放り出すことが転じて、質屋に物を入れること。質屋のことを「かます屋」というとか。

 

かまぼこ(カマボコ)

進んで稽古をせずに見ている力士のこと。稽古場の壁板に背中をつけている様が、かまぼこみたいということ。余談ですが、マイケル・ジャクソンの歌に「off the wall」ってのがありましたね。直訳すると「壁から離れる」ですが、型破りなとか突拍子もないってな意味のようです。マイケルも「かまぼこじゃぁ、名を残すような力士になれねーぜ」っていいたかったのかもしれません。

 

かわいがる(カワイガル)

兄弟子や上位力士が弟弟子や下位力士に、厳しく稽古をつけること。厳し過ぎて、いじめられているように見えるのを、逆の表現でいったもの。でも本当は愛あってのこと!

 

北を向く(キタヲムク)

江戸時代に「北向天神」を「北向変人」と言い換えたシャレからきていて、怒ったりすねたりすることや、変わりものやすねグセのある人を「北向き」といったりします。

 

こんぱち(コンパチ)

いわゆるデコピン。初めてちょんまげを結えたときの儀式のようなもので、先輩力士が親しみを込めておでこをパチンとやり、ご祝儀をあげるというもの。

 

【さ行】

シカを決める(シカヲキメル)

単に「シカ」ともいい、知らんぷりをしてそっぽを向いたり、とぼけること。花札の鹿が横を向いていることに由来。「シカをかます」ともいうそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

性がいい(ショウガイイ)

気前がよい、金持ちで金回りがよいこと。逆にお金の持ち合わせがなかったり、単に文無しであることや待遇が悪いことは「性が悪い」。

 

しょっぱい(ショッパイ)

弱い力士のこと。また、消極的な取り口を「相撲がしょっぱい」とも。そこから転じてお金がない場合に「懐がしょっぱい」といったり、けちな人のことをいったりします。

 

石炭たく(セキタンタク)

急ぐこと。昔、巡業が屋外で行われていたとき、急な雨などで取組を早める場合などに使われていたそう。

 

【た行】

タコ釣る(タコヲツル)

思い上がりのあるものをいさめること。また、親方や兄弟子のいうことを聞かずに思い上がることを「タコになる」という。天狗ではなくタコなんですね。

 

ちゃんこの味がしみる(チャンコノアジガシミル)

相撲界についてひと通りのことがわかって、精神的にも体格も力士らしくなること。

 

手相撲(テズモウ)

自分のお金で飲み食いすること。

 

てっぽうをかます(テッポウヲカマス)

相手の頼みをきっぱりと断ること。「アゴをかます」ともいいます。

 

電車道(デンシャミチ)

立ち合いから一直線に相手を押したり寄ったりして土俵の外に出すこと。そのさまをまっすぐな電車のレールに例えた表現。「電車道で勝つ」「電車道で負ける」という具合に使用します。

 

 

 

 

 

藤助(とうすけ)

けちのこと。今ではあまり使われないようですが、明治時代に活躍した藤田川藤助という倹約家の力士からきています。

 

どっこい決める(ドッコイキメル)

「どっこい」はガンコ者のこと。人のいうことに耳を貸さず、自分に非があっても決して認めないこと。強情を張り合った結果折れてしまうことを「どっこい負け」といいます。

 

【は行】

端紙(ハガミ)

借金の証文や借用証書のこと。借金をすることは「端紙を入れる」といいました。

 

 

筈押し(ハズオシ)

ごちそうになることで、「押す」という場合も多いようです。使用例としては「昨日は押しちゃった」など。

 

馬力(バリキ)

お酒のこと。お酒を飲んだら元気が出ることから。また、お酒を飲むことを「馬力をかける」という。また、「馬力屋」は飲める酒屋のことだそう。

 

常陸(ヒタチ)

見えっ張り。威張っていたり生意気な人のこと。「常陸潟」とも。明治から大正にかけて活躍した常陸潟という力士からきている。見栄を張ることは「常陸潟をきめる」。

 

懐が深い(フトコロガフカイ)

見かけと違って、実は金持ちであること。おすもうことば①でご紹介した意味とはちょっと違ってますね。

 

骨折り(ホネオリ)

謝礼や報酬のこと。

 

盆中(ボンナカ)

気を利かすこと。気が利かずに物事をダメにしてしまうことを「盆をこわす」といったりします。

 

【ま行】

虫眼鏡(ムシメガネ)

序の口のこと。番付では極細の文字で書かれるため、虫眼鏡でないと見えないというところから。呼出さんや床山さんもかなりの虫眼鏡ですよね。

 

胸を出す(ムネヲダス)

相手にごちそうすること。

 

目が開く(メガアク)

本場所の初日から連敗していた力士が初白星をあげること。「片目が開く」「初日を出す」とも。ちなみに「両目が開く」は、本場所で黒星の多い力士が二勝目をあげること。1つ目の白星で片目が開いて、2つ目で両目が開くことに。

 

【や行】

家賃が高い(ヤチンガタカイ)

実力以上の番付に位置すること。番付の下位で大勝をして上位に番付を上げて、今度は大負けしてしまうようなケースをいいます。

 

参考資料『相撲大事典』(現代書館)

illustration/tentent

 

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