見事なヒゲを蓄えたコルトンさん。28歳には見えない貫禄があります。
今回お話をうかがったのは、埼玉大学相撲部員で大学院生のコルトン・ラニアンさん。学生おすもう、2校目にして早くもワールドワイドな展開です。
埼玉大学相撲部、と聞いて「!!!」と思った方は多いはず。先場所(平成29年九月場所)で序ノ口優勝を決めた庄司さん(武蔵川部屋)の出身校です。国立大出身では4人目、しかも序ノ口優勝も決めた力士を輩出した大学、気になる!!
前回までのインタビューでお世話になった日本医科大の三浦さんのツテをたどり、埼玉大相撲部の現在を伺うと、部員は1人、しかも外国人。それはぜひお話を聞かねば!
とはいえ、当方英語はからきしダメ。先方もあまり日本語は得意ではない、ということで、LINE英語通訳を駆使して連絡をとりあい、出稽古に来ているという立教大学で待ち合わせと相成りました。
――はじめまして。日本医科大の三浦さんからご紹介いただいた者です。今日はよろしくお願いします!
「私、日本語あまり得意ではないけど」
――大丈夫です! 相撲が好きという気持ちは同じです。私も頑張ります。
「(笑)」
――ちなみにコルトンさんの出身はどちらですか?
「アメリカです。テキサス。ダラスです」
――おお、テキサスといえば、若一郎さん(武蔵川部屋)も出身ですね。
「はい。彼もダラスです」
――そうなんですね!お知り合い?
「違います。ダラスは広いです。テキサスも大きな州です。日本の(国土)面積の2倍あります」
――え~!そんなに大きいのですか。コルトンさんは、日本にいついらしたんですか。
「ハタチの時だから、今から8年前ですね。2年間秋田県に住んでいました。英語の先生をやっていました。ちなみに秋田はダラスと同じぐらいの大きさです」
――秋田といえば豪風関ですね(嬉)。なぜ秋田に?
「英語の先生で派遣されました。希望の地域は選べません。『寒いところで山があるところがいい』と書いたら、秋田になりました」
――秋田のどこですか。
「小坂です。大館とかに近いですね」
――秋田は美味しい物いっぱいありますね。日本の食べ物は大丈夫でした?
「全然平気。はたはたと日本酒、とてもおいしい」
残念ながらこの日は稽古がなかったため、学食で四股踏みを披露していただいた。
――温泉もありますもんね。
「温泉大好きです」
――初めて住んだのが秋田となると、日本語、ちょっと方言が出たりしますか?
「します(笑)。単語も違ったりするから、東京では通じないこともあります」
――アメリカでは相撲の経験があったのですか?
「ないです。秋田で初めて」
――英語の先生やりながら、お相撲始めたんですか?
「毎年、秋田県の外国人相撲大会があります。私はその大会で優勝しました」
――そういう大会があるんですね!しかも優勝なんてスゴイ!それまで格闘技の経験は?
「ないです。武道はあまり好きじゃなかった。ウェイトリフティングだけやっていました」
――経験がないのに初出場で初優勝……才能があるんですね!それから、相撲にはまったんですか。
「もっと稽古したい、と思いました。英語の先生の任期(2年)が切れたのでアメリカに帰りました。アメリカで稽古してました」
――相撲の仲間がいたんですか?
「いません。私1人だけ」
現在は埼玉大学大学院で日本史を学んでいらっしゃいます。
――どんな稽古をしてたんですか?
「四股とかすり足とか…ときどき相手がいるので相撲とります。稽古して、アメリカの大会でチャンピオンになりました」
――すごいですね!!!アメリカの大会は、まわしですか?直接?パンツの上から?
「私はそのまままわしつけますけど、アメリカ人はだいたいパンツの上にまわしですね」
――まわしって一人では締められないって聞いたんですけど、アメリカで1人で練習してるときはどうしてたんですか?
「1人でできます。難しいけど、1人でできますね」
――ゆるふんになっちゃいそうですが、大丈夫なんですね。アメリカでチャンピオンになったあとは…
「世界大会に出ました」
――実力者!
「世界大会のあと、もっと相撲の稽古がしたいと思って、日本に来ました。日大相撲部に住み込みで稽古していました」
――え!日大相撲部ってあの日大相撲部ですよね。今場所の番付でも何人もの関取がいる…
「そうです」
相撲初心者だったコルトンさんが、最強豪の日大相撲部へ!気になる稽古と暮らしの様子は次回をお楽しみに☆
PHOTO : Kaori Murao