今年で第8回を迎える早稲田生のための相撲大会『早稲田杯』が4月22日に開催されました。早稲田OBで、早稲田大学相撲部特別参与のデーモン閣下が審判長を務め、同じく早稲田OBで同部特別参与のやくみつるさんもかけつけました。今回は、学生おすもう特別編として、この模様をお届けします!
『早稲田杯』は、競技経験を問わず早稲田の学生ならだれでも参加できるというもの。今年の参加者は去年を上回る22名。4つのグループに分かれて総当たり戦の予選リーグを戦い、上位2名が決勝トーナメントに進出します。
まずは相撲部員の指導のもと、ショートパンツの上にまわしをつけ、準備体操に続き四股やすり足、最後は部員が胸を出してぶつかり稽古を行いました。
相撲部員の見よう見まねで四股を踏む参加者。足を上げたときにバランスをくずしてふらつく人も。シートが敷かれた砂かぶり席には、留学生の見学者がズラリ。
ぶつかり稽古では、胸を出した相撲部員を土俵の端から端まで押します。自分よりもかなり重い部員を押すのはキツそう!
準備運動が終われば、開会式。部長のリー・トンプソン教授、相撲部特別参与のやくみつるさん、デーモン閣下から開会の挨拶。
やくさんからは「みなさんの使命は、明日それぞれのキャンパスに戻って、相撲を知らない早稲田生たちに相撲を啓蒙することにあります。ぜひとも相撲を広めることに貢献してください! 今日はがんばってください!」と。
デーモン閣下からは「今回は非常に盛大で、吾輩も期待しています。ケガに注意することと、もうひとつ、相撲は礼に始まり礼に終わる、ということで、取組の前と後には必ず一礼することを心掛けて、楽しい実りある大会になることを期待しています」と、それぞれから激励の言葉がありました。
その後、選手宣誓に続き、全員で校歌を斉唱。デーモン閣下のアカペラ前奏に続き、力強い歌声で、今日の熱戦を予感させてくれました!
選手宣誓は今回初参加の1年生・勝山君。
全員が拳を振り上げ、校歌を熱唱。
いよいよ予選リーグがスタート。相撲未経験者がほとんどにも関わらず、しっかりと当たる立ち合いに、土俵際の巻き返しがあったりと、見ごたえのある取組が続きます。土俵の4隅には、デーモン閣下、やくみつるさんも交えた審判団がスタンバイ。ときに物言いがつく場面も。
行司は相撲部員が務めます。
大相撲さながらの物言いシーン。
各グループ上位2名が決勝トーナメント進出を決め、くじ引きで組み合わせが決まったところで、サプライズ! 敗者復活戦が行われることに! 惜しくも決勝進出を逃した4名が再び総当たり戦で激戦を繰り広げ、2名がトーナメントに参入。
決勝トーナメントでは、デーモン閣下が呼上げを披露すると、観客からはその美声に思わずため息が……。
自前の扇を持って呼上げをするデーモン閣下。
やくみつる特別参与も真剣なまなざしで取組を見守ります。
激闘の末、トーナメントを制したのは昨年も参加し準優勝だった松田君。2位は初参加の勝山君、3位は昨年優勝者の酒井君。やくさんからは特別に三賞ならぬ二賞(敢闘賞と技能賞)が贈られました。
*三賞:大相撲本場所で特に活躍した関脇以下の幕内力士に贈られる賞。殊勲賞、敢闘賞、技能賞。
上位3名にはデーモン閣下より賞状と賞品のお米が授与されました。
二賞の2名にはお米券と商品券がやくさんより授与されました。
閉会式では、表彰に続き、デーモン閣下より閉会の言葉、全員での記念撮影が行われました。
デーモン閣下からは「非常に熱戦が多く、今までで最も内容が濃かったと言っても過言ではないと思います。みんな勝ち星の数は違えど、よくがんばった。初めて相撲を取った人は難しいぞと思った人もいるでしょう。こんなはずじゃなかったと思った人もいるでしょう。そんな人はぜひ、また来年も出てください! この道場に来て稽古するのもいいし、相撲同好会に入るのもいいじゃないか! ということで、また来年参加してくれることを期待しています」とあいさつがありました。
熱戦をたたえるデーモン閣下。
記念撮影、最前列左端が敢闘賞の増田君、右端が技能賞の森君。同じく最前列中央が1位の松田君、その左が2位の勝山君、右が3位の酒井君。
閉会式が終われば、みんなでちゃんこタイム! 相撲部マネージャーや部員保護者などで作った早稲田大学相撲部秘伝の塩ちゃんこがふるまわれました。
【勝者インタビュー】
1位 松田君
-昨年は準優勝でしたが、去年の経験から今年取り入れたことなどはありましたか?
松田:とくにはないんです。とにかく足を前に出す、それだけです。
-他のスポーツは?
松田:サークルで野球をやっています。
-これを機に相撲に転向はありますか?
松田:厳しいですね……(笑)。
-でも4年連続で出場だそうで。
松田:はい。
-相撲の面白さってなんでしょうか?
松田:野球やサッカーと違って、個人スポーツなので、自分次第で結果が決まるというのに魅かれますね。
用意された100人前のちゃんこはあっという間になくなり、急遽追加を用意したのだそうです。
2位 勝山君
-初参加ですが、経験は?
勝山:ほとんど初心者ですが、高校時代は柔道をやっていました。
-柔道と相撲ってやっぱり違いますか?
勝山:柔道は引いて投げれるんですが、相撲は引いたら差し込まれるので、簡単に引き技を出せないところがあり、柔道経験者としては難しいです。
-一本背負いとか、柔道と同じ決まり手もありますね。
勝山:あるんですが、柔道は膝をついて投げてもいいけれども、相撲は膝をついたら負け。なので、つい膝をついてしまうので、なるべく投げ技はやらないようにしてました。
-これを機に相撲をやってみたいと思いましたか?
勝山:はい。入部を決意しました。
-おお!では来年は、
勝山:スタッフとして参加します!
-がんばってください!
3位 酒井君
-予選リーグでは大けがか!?と心配されるシーンもありましたが、敗者復活戦からの見事な2位入賞でしたね。
酒井:あれはみぞおちに入っちゃったんで一時的に動けなくなりました。ちょっと気持ちが切れかけたんですが、少し休んで回復したので、腐らずにやったら上がれてよかったです。
-さすが去年の王者!
酒井:今年はちょっと壁が厚かったです……。
-とはいえ、敗者復活戦からは4連勝でした。
酒井:あれは、ゾーンに入ったというか、負ける気がしなかったですね。
-他のスポーツは?
酒井:野球と陸上とバレーボールの経験があります。相撲は好きで国技館にも見に行きました。
-相撲の魅力ってなんでしょう?
酒井:横綱っていつも強いわけじゃなくて、下からの突き上げがあったり、そんな精神的な葛藤も見てとれるところが好きですね。
-好きな力士は?
酒井:栃煌山関です。昔なら朝青龍関!
【デーモン閣下&やくみつるさん 第8回早稲田杯総評】
相撲通で知られるお二方に、今回の熱戦を振り返っていただきました!
-今大会一番の取り組みというと?
デーモン閣下(以下/閣下):吾輩としては優勝決定戦かな。立ち合いから、アマチュアの取り組みとは思えない内容で、頭で当たっていたしね。
やくみつるさん(以下/やく):優勝した松田君はね、予選見ててこの子が優勝するんじゃないかと思ってましたね。でも、何より、おそらく相撲経験もないし大相撲もあまり見たことのない子たちが参加してくれてたことがうれしかったです。これで興味持ってくれたらと。
-やくさんはリーグ戦で松田君に注目されてたとのことですが、松田君のいた第3グループは、そのほか2位の勝山くん、3位の酒井君もいる、死の第3グループみたいなことになってて……。
やく:おー。
閣下:そういうくじの運・不運もあって、本当なら決勝トーナメントに残れる人が残れなかったりもしたんだけど、敗者復活戦で上がってこられたりとかっていう、波乱もあったよね。あと、みんな取組を重ねるごとに、相撲の内容がだんだんよくなっていくのが面白かった。
やく:立ち合い変えてきたりする子もいたね。
閣下:そうそう。
やく:低い立ち合いで、相手に引かれた場面があって、次から立ち合い修正してきたりね。
閣下:みんな素人なりに、修正ポイントを考えて取っているところは関心しましたね。1人、ものすごい上半身の力がありそうで、がっぷり四つに組んで力比べをやってる感じの選手がいたんだけど、いや~相撲は力じゃないんだよって思ったりね。相撲は下半身でとるってことを覚えたらもっと勝てたのにって選手がいっぱいいた。
-見ていてついつい解説したくなってしまいますね。
閣下:そうそう。そこは上からじゃなくてこっちに持ち替えたほうがいいのに! とか、脚がすぐ前にあるのだからそこは内掛けだろ! とかね。
やく:アナ研(アナウンス研究会)に実況やってもらえばいいんじゃない?
閣下:来年あたりからそういうのやってもいいかもね。
-素人ならではの相撲内容もありましたね。
閣下:二丁投げとか、はりま投げとか、大相撲でもあまりないような決まり手が一杯でてきて非常に面白かったね。攻め方が奇想天外なんだ。相撲経験者になっちゃうと、セオリーに反してるとかってやらないことをやってきたりね。
やく:マルがあってその中で組めば相撲になるっていう本能的なものですよね。組んだら相手を押したくなる、投げたくなるっていう本能的な部分が面白いんだけど、素人でも、土俵に立つととりあえず礼をするとか、なんか神妙な気持ちになるでしょ。それを若い人でもなんとなく肌で心得てるんですよ。そこがいいなぁと思いました。
閣下:そうだね。相撲場に来たら、相撲と対戦相手に敬意を表して行う、ということが実践されていたのが非常によかったね。
相撲を知らない人も、相撲の場に来ることでおのずと相撲の神妙さを、面白さを肌で感じる。そんな貴重な体験ができる素敵なイベントでした!
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