浅坂さんの“四股名ものがたり”〜復活編〜

“相撲の知恵袋”、伊勢ノ海部屋マネージャー・浅坂さんが、古今東西の“四股名”を自慢のお宝資料とともに紹介するシリーズ。

今回は復活編。

本日(令和7年6月30日)は七月場所の番付発表ですが、今場所で誕生した新横綱といえば「大の里」。そして、改名によって復活した若碇改め「藤ノ川」の登場です。

*画像はすべて浅坂さん私物

 

大の里

昭和初期の名大関といわれた大の里は、現代より体格の小さかった当時の相撲界でも指折りの小兵力士で、昭和以降の三役力士の中でも、ダントツの小さな体格です。

その中で、身長2メートル、体重200キロの文ちゃんこと関脇出羽ケ獄を手玉に取ったというのだから驚くより、ありえない体格差。

青森県出身の「里」の四股名は、鏡里~青の里~隆の里から茨城出身の稀勢の里へと受け継がれ、そして令和の日本出身第1号横綱が百年前の名力士を世に知らしめたのは、伝統を誇る相撲界だからこそといえます。

 

若き躍進時代。あだ名はネズミ。のち、相撲の神様

大関時代の勇姿

 

藤ノ川

この七月場所から伝統の四股名を引き継いだのは若碇改め六代目藤ノ川。

おすもうさんには、新十両時に登場していただきました。
→祝!新十両!親子インタビュー
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では、歴代藤ノ川を初代から順番に見ていきましょう。

 

初代藤ノ川。のち、柏戸を継ぎ、八代伊勢ノ海となる。

二代目藤ノ川。関脇。引退後、春日山部屋を創設。

三代目。柏戸を継ぎ、10代伊勢ノ海に。横綱柏戸、関脇藤ノ川を育てた。岩手県出身。部屋の岩手県力士はこの藤ノ川より、85年間、途絶えなく続いている。柏梁、四ツ車、錦木と、関取も続いている。

四代目。ご存知、昭和の牛若丸。三賞7回、優勝決定戦にも出場。スピード溢れる動きで土俵いっぱい駆け回り、足技も駆使して大型力士に対抗した。引退後は理事として、相撲健康体操ほか、新企画を次々実現し、相撲の普及に貢献した。北海道出身。現在、相撲協会評議員。

五代目~服部改め藤ノ川。同志社大出身、小兵力士のイメージある歴代の中で、唯一、大型力士として、期待された。引退後は大学教授、相撲部監督、テレビ、新聞連載などで、相撲の普及に広く活躍した。先日没したのは惜しまれる。

彼の後、38年ぶりに伝統の四股名が復活した。

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おまけ!!

浅坂さんの “復活してほしい四股名ランキング”

1位 柏戸

2位 藤ノ川

3位 朝潮

4位 雷電

5位 西の海

6位 大錦

このなかでも柏戸はダントツ! 1横綱、2大関、2小結、5幕内、1十両の実績を誇る四股名です。

浅坂直人
あささか・なおと 伊勢ノ海部屋マネジャー。北海道利尻島生まれ。札幌旭丘高校出身。元三段目・雪光山(昭和55年五月場所初土俵、平成4年九月場所引退)。同期の関取は栃ノ華、旭道山。相撲文化を愛し、相撲関連書籍、資料を多数所有し、専門誌の連載や講演も行う。相撲趣味の会会員。好きなアーティストはジェフ・ベック、エリック・クラプトン、アニマルズ、ザ・ショッキングブルー、日本のGSなど。(↓写真は巡業で甚句を歌う雪光山〈浅坂さんの現役時代〉)

 

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