おすもうさんの甘い香りのもと「鬢つけ油」を作る職人親子・島田商店~その②

おすもうさんの大銀杏や髷を結うのに欠かせない「鬢つけ油」(正しくは「すき油」)。現在相撲部屋に鬢つけ油を納める唯一の作り手である島田商店さんにお邪魔して、鬢つけ油ができるまでを見せていただきました。

原料のヒマシ油とモクロウなどを火にかけて溶かします。モクロウは和ロウソクにも使われるものですが、鬢つけ油用には脱臭・脱色していないものを使います。

巨大なバターを溶かしているようにみえますが、ロウです。

1が溶けたら濾して、ごみなどを取り除きます。

 

扇風機を当てつつ、冷まします。扇風機やエアコンがなかった時代は冷ますまで時間がかかったため、夏は夜中に起きて溶かし、朝までに冷めているようにしていたのだそう。

冷めたら香料を加えます。加えるのは3種類のブレンド香料。割合や詳細は企業秘密です!

なんだかお砂糖を加えているみたい。特注の棒で混ぜ合わせます。

ここから鍋を台座に置いて、練っていきます。まるで船を漕いでいるよう。棒の使い方がポイントで、外から中へ、上から下へと棒で混ぜることによって鍋を回転させ、均一にしていきます。息子さんの陽次さんが初めてやったときは、うまく鍋が回転しなかったそう。匠の技のひとつです。

混ぜるときの棒は硬い樫の木製。擦り減ったり、折れたりしやすいので丈夫な樫で作っているそうです。

  

 

空気を含んでふんわりと、艶がでてきたら練り上がりのサイン。お父さんの秋廣さんが「よし、いいだろう」と見極めます。

ロウ生地をいくつかの塊に分け、右手のひらでパシン!と叩いて、左手で折り返す。これを繰り返し、さらに全体を均一に練っていきます。

練り上がったら木枠にはめて成形します。芋ようかんに見えてきましたが、ロウと油を練ったものです。

木枠から取り出したものが完全に冷めないうちに、石鹸大に切り分けます。包丁などの刃物で切るとくっついてうまく切り分けられないため、お手製の糸のこぎりのような道具で切っていきます。この糸の部分、実はギターの弦。しかも高音の弦が最適とか。ちなみにさらに柔らかい商品を切るときは三味線の弦がよいのだそう。

切ったものは互い違いにして冷まします。

鬢つけ油つくりに使う独特な道具たちはすべて手作り。切るときの台は大工さんに作ってもらったもの、切る道具やへらは島田さん親子のお手製。ロウを溶かしていた鍋や混ぜるときの台座は浅草のお店(前回の記事参照)から譲り受けたものだそう。70年以上使いこまれています。

切る作業をしているとお母さんが作業場に登場。包装作業はお母さんの担当。手慣れた手つきで薄紙に包んでいきます。こうなるとボンタン飴に見えてきました。

10

最後の箱詰めは母と息子が並んで作業。島田家の温かな家族の風景のなかで鬢つけ油が完成します。

機械を一切使わず、昔ながらの技法で作られる島田商店の「オーミすき油」。これからもおすもうとともに愛され、受け継がれることを願います。

島田商店(島田秋廣さん、島田陽次さん)

tel:03-3670-6211

 

*島田商店さんの商品は両国の相撲雑貨のお店「高はし」さんで購入可能。

高はし

tel:03-3631-2420  http://edo-sumo.d.dooo.jp/

photo/Mariko Nakagawa

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