秋田出身・同級生アスリートのスペシャル対談  豪風 旭×石川雅規(東京ヤクルト)②

秋田出身の小兵のエース、豪風関と東京ヤクルトスワローズ石川雅規投手のスペシャル対談2回目。今回はケガや年齢、体のこと、進退のことをテーマにトークしていただきました!
(写真上:石川「うわー、やっぱり厚みがすごいですねー!」)

コンタクトを入れたら見えた土俵からの景色とは!?

-対談のはじめにお二人ともケガのことを聞いてみたかったとおっしゃってましたが……。

豪風:偶然ですが、僕は2回肘の手術してまして、野球選手がよくやる「ねずみ*」なんです。2回やってますから。
*関節内にできた軟骨や骨などの小片

石川:相撲でもねずみができるんですね。

豪風:野球は、やっぱり投げすぎとか、ねずみができるメカニズムっていうのは解明されているんですが、相撲はまだ未知な部分みたいですね。相撲でのケガはよく膝とか、足腰といわれてますけど、そっちは大丈夫なんです。なのに2回も野球選手がやるような肘の手術をしてるんですよ。

手術跡を見せる豪風関。

石川:僕は手術をするまでの大きなケガは肩も肘も下半身もないですけど、大学時代に内側側副靭帯損傷をやっていて、今でいうトミージョンです。手術したほうがいいって言われたんですが、せずに保存療法で治療しました。それもあって、肘に関しては人一倍に敏感にアンテナ張ってるつもりで。

豪風:アンテナ張ってても、2回も手術してて……(笑)。5年前と去年手術したんですけど、13年前に目の手術もやってるんですよね。さすがに目の手術のときは、もうダメかなって思いました。

石川:目が見えなくなったんですか?

豪風:見えなくなりましたね。もともと視力は悪かったんですが……。

石川:僕は東京に来て視力が落ちました。

豪風:僕もです。大学2年か3年の時、大学の大教室で黒板が見えなくなったんですよ。ぶちかます相撲なんで、あたったりすると視力落ちるとは聞いてたんですが、それでメガネ作りましたね。野球だと見えないとけっこう困るんじゃないですか?

石川:サインが見えないです(笑)。ナイターとかだと、まぁ見えないです。乱視がすごいので、サインがわかんないんですよね。それって、まずいですよね。

豪風:その点、相撲はね、見て動いてるようじゃ遅いってのがあるんです。もちろん見ますけど、あまり視力自体は関係ないんです。ただ、見えないより見えたほうがいいってことで、何年か前に、コンタクトレンズをつけて相撲を取っていた時期があってですね、これが取組中にぽろって落ちるんですよね。こういうの(いわゆる横からの張り手)じゃなくて、こういうべろっとやられると(縦に顔を撫でられる感じ)取れるんです。取れたときは、一瞬「あっ」てなるんですよ。「あっ」ていうのはもう余計で、その「あっ」の瞬間に攻められたりするんで、「あっ」いらないなと思って、コンタクトやめました。

石川:(笑)

豪風:でもね、コンタクトすると今まで見えなかったのが、見えるようになるじゃないですか。で、お客さん見たらみんなこっち見てるんですよ。

石川:(爆笑)でしょうね。

豪風:もちろん、相撲見に来たからなんですけど。野球って球場だけど、相撲ってこう土俵が狭いじゃないですか。国技館だったら1万人くらいのお客さんで、2万の目ん玉があるわけですよ。それがみんなこっち見てるから、うわーって、その違和感はありましたよ。

石川:豪風関、おもしろいですね~。

 

考えぬいて辿りついた「このままでは終われない」という境地

-お二方とも、昨年、一昨年は記録をぬりかえられたり達成されたり*とご活躍でしたが、その後十両陥落、4勝14敗という不調も経験されました。けれどもそんな不調を乗り越え復活されています。年齢的にも進退を考えるお年頃ですが、モチベーションの保ち方やトレーニング・稽古方法などはあるのでしょうか?
*豪風関は昨年2017年七月場所で学生出身者としての幕内出場回数最多記録を達成、その後今年2018年の三月場所では十両に陥落するも、翌場所では昭和以降歴代2位の高齢記録で再入幕と見事復活。その後、この七月場所(平成30年)で十両に落ちるも再度の再入幕を狙う。石川投手は一昨年2016年に史上48人目となる150勝を、昨年2017年は史上46人目となる2500投球回を達成するも、けがに泣き、昨年は4勝14敗と不本意な結果に。今シーズンは前半戦を終えて4勝2敗と復活の兆し。(記録や成績などは平成30年7月17日現在のもの)

石川:僕は昨年が4勝14敗という、ぜんぜん働けなかった年で、本当にもうだめかなって……、弱気な部分はありました。体の疲れの抜け具合が遅くなっていたり、今までできていたことができなくなってきたっていう感覚も正直あります。でも、そんな中でもう一度契約していただいて、今では若い時のパフォーマンスを追い求めるんじゃなくて、今に合ったトレーニングだとか、投げ方だったりをやろうと考えていますし、逆にこれからまだ野球が上手くなるんじゃないかと思ってやってるので、これから何年できるのかわからないですが、まだまだ楽しみではありますね。

豪風:疲れが取れにくいのは確かですよね。今、石川さんがおっしゃったように、今までできてたのに、っていうそういうプライドをどんだけ捨てられるかじゃないですかね。今の自分でやっていくしかないんで。過去にしがみついてもどうしようもないし、早く今を受け入れて、プライドを捨ててっていう作戦をたてていくことが大事だと思います。

石川:大相撲もそうですが、野球も同じ相手と何回もやるので、傾向だったり対策は出るし立てやすいと思うんです。僕はいろんなボールを投げますが、シンカーっていうボールを投げていて、シンカーばかりの傾向が出てる時には、まっすぐ多めにするとか、組立て次第でもう少し何とかなるんじゃないかと思ったりもするので、ただがむしゃらに投げるんじゃなくて、もっと頭を使ってやれたらいいのかなと思ってます。フォームも毎年毎日違うので。コーチの助言ももらいますが、自分自身で映像をチェックしたりする時間は、年を追うごとにかけるようになっています。

豪風:一応僕もフォームチェックは自分でしてるんですけどね(笑)。相撲は立ち合いで手をつく位置とか、フォームがあるんですよ。膝の開き具合とかね。腰をちょっと高くするとか低くするとか細かい話ですけど、いろいろあるんですよ。
あとね、結果で生きている僕らなんで、やっぱり結果出したいですよ。でも結果ばかり追い求めると、だいたい結果出なくなるんです。結果はまず横に置いておいて、まず一生懸命相撲を取る。自分の目いっぱいの相撲を取るってことですよね。勝ちたい勝ちたいばかりじゃ緊張しますもん。

石川:そうですね。やっぱり去年は11連敗してて、球場行くのも若干怖くなってたというか……。勝ちたい勝ちたいじゃ、なかなか勝てないんですよ。勝ちたいから1点を怖がって、1点をとられたくなくて……。で、結局2~3点とられたり、ビッグイニングになったり。今思うと、マインドがよくないマインドしてましたよね。その時はもうダメかなとか、もう長くやったし……とか、自分で言い訳を考えていたりとかしてました。

豪風:いやいや、僕はもうやめるつもりで、(今年の初場所の)千秋楽の土俵上がってましたよ。勝ったら幕内残留、負けたら十両陥落。自分の人生の中で、こういう大一番を迎えることもなかなかないと思ったんで、前の日から一分一秒をかみしめて過ごしてました。結果、負けましたけど、その勝負に立ち向かっていけましたし、まったく悔いはなかったんですが、これでやめられるか?って思ったんです。いざ、引退という文字を目の前においた時に、はたしてこれでいいのかな?十両っていっても、まだ何百人も十両目指してがんばってるし、はたしてこれでいいのかな、とかいろんなこと考えましたよ。

石川:10月のシーズンオフになって、このままじゃ終われないなとか、大好きな野球を仕事としてできるなんて幸せなのに、なんてこと考えてるんだろうって、いろいろ考えて、その時間が大事でしたね。で、やっぱりこんなんじゃ終われねーなっていうか、だめでももう1年、いい訳作らないで練習しようって思って、それしかないのかなって思った時に、絶対もう一回神宮のマウンドで勝つんだぞって気持ちになりました。実績とか年齢で飯食える世界じゃないので、チームメイトは仲間ですがみんなライバルですし、まだまだポジションを渡さないぞって気持ちが、10月の1カ月間で強くなりましたね。契約してもらった以上、数字としてちゃんと残さなきゃって気持ちも強くなりました。

 

豪風:僕も千秋楽で負けた後、いつもの倍休ませてもらって、やめる? やる? やめる? やる? みたいな毎日その葛藤で。でも、だんだんやるぞっていう戦うぞっていうなんか、気持ちになってきましたね。どうしても格闘技なんで、相手とめちゃめちゃやりあわないといけないじゃないですか。そのモチベーションとか、気力ってなかなか持ち続けるっていうのは難しいところありましたけど。あ、またいけるな、やるぞって思いがありました。僕の体に流れてる血には、そういう血がありましたから(笑)。

小兵にしかわからないあの快感

-お二人とも、力士としては、野球選手としてはいわゆる小兵タイプですが、大きな相手と張り合えるような秘訣などはあるのでしょうか?

豪風:特に僕とか力士は食べることも稽古といわれてるくらいなんで、まずは食べ物は大事じゃないかと思います。新鮮なもの、旬なものを食べるようにしてます。

石川:医食同源というように、食べることは大事だと思いますし、実家から米を送ってもらって食べてます。小さいから野球できないってルールはないんで、大きい人を見返してやりたい、倒したいって気持ちでやってるっていうのもありますね。

豪風:相撲は、まぁ、みんな僕より大きいんですが、特に200㎏以上ある逸ノ城関とか、臥牙丸関とか、ちょっと前なら2m超えの琴欧州さんとか把瑠都さんとか、そんな力士にも勝ったこともありますし、小さいものが大きいものを倒したら、一番お客さんも盛り上がるし、小さい自分もすごくうれしいんですよ。大相撲入ってからじゃなくて、高校の時というか、相撲始めた時から、それは感じてたんで。これはもう正直快感ですよ。なかなか説明してもうまく伝わらないと思うんです。この快感っていうのは本人にしかわからない。

 

現役引退の節目は……?

-では、例えば何歳まで、とか何勝までという、現役を続ける目標とする区切りはあるのでしょうか?

豪風:だいたい34歳くらいまでと思ってたんですが……。

石川:もうだいぶすぎましたね(笑)。

豪風:大学を22歳で卒業して、まずは30歳までと。で、28歳で結婚したんで、結婚して2年でやめたら、かっこ悪いじゃないですか。で、30すぎて34,35歳くらいまでできればいいなと思ってたんですが、35歳の時が大フィーバーした年なんですよね。いろんな記録を塗り替えたりして。それでやめられなくなってきて、そしたら肘の手術とかいろいろあって、自分の中で引退のシミュレーションとかしたりしていたんですが、いざ本当に引退っていうことを目の当たりにした時に、やっぱりこれでいいのかって思ったんですよね。いつかは引退する時は来るんですけど、最後は勝ってやめたいですね。みんな負けて辞めていくじゃないですか、でも自分は勝ってやめたいですね。勝って勝ち越して、引退会見してたら、豪風何考えてんだ?って、ね。これが豪風だって出していきたいですね。

石川:僕もプロに入った時は、10年やれたら最高だなって思ってたんですが、好きな野球でご飯を食べられるってこんな幸せなことないって思っているので、一年でも長くという思いはありますが、なんとか1歩でも200勝に近づきたいです。今はそれがモチベーションにはなってますが、それは大きな目標としてあって、今までどおり、ひとつひとつ、一歩一歩頑張りたいです。そこで本当にダメになったらその時考えるしかないんで、思い切って腕を振り続けるだけ振り続けたいと思います。

お二人とも、別のインタビューで進退について問われた時、「ボロボロになるまでやりたい」と、同じ表現をされていたのがとても印象的だったのですが、持てるものを出しきって、勝ち越して引退会見をする豪風関、腕がちぎれるほどに懸命に振り続けて選手人生を全うする石川投手、どちらも男気に溢れ、カッコいい! これからがますます楽しみな昭和54年度コンビです。この対談、最終回となる第3回では、2人の非共通点である、選んだスポーツ「野球」と「相撲」について聞いてみたかったことをテーマにトークしてもらいます!お楽しみに。

豪風 旭(たけかぜ・あきら)
尾車部屋所属。柔道経験を生かして高校から相撲に転向。大学時代には学生横綱に輝く。平成14年五月場所、幕下15枚目格付け出しで角界入り。わずか2場所を経て同年九月場所で新十両、翌年三月場所で新入幕をはたす。平成20年三月場所で新三役に。最高位は関脇。得意技は突き・押し。ブログ/豪風がんばるぞ!も要チェック!

石川雅規(いしかわ・まさのり)
東京ヤクルトスワローズ所属の投手。秋田商業でエースとして甲子園に出場。その後、青山学院大学に進み、東都大学リーグでもエースとして活躍。3年生の時にはシドニーオリンピックにも出場。平成13年自由獲得枠で同球団に入団。平成14年は12勝をあげ新人王に輝く。著書に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)がある。

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豪風関と石川投手、お二人のサインが入った、なまはげのお面(A)秋田犬のミニぬいぐるみ(B)秋田グルメが染め抜かれた手ぬぐい(C)を各1名様にプレゼントいたします。

ご応募を締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました!

〚問題②〛

石川投手が投球の組立で、シンカーが多い傾向のとき、例えばこんな球を多めにしてみたりと、例に挙げていた球は? 

「○っすぐ」

○に入る文字はなんでしょうか?

問題①~③(①と③は対談各回にて出題)の答えを合わせるとある単語になります。その単語をお答えください。

なまはげお面は裏面に、秋田犬は一匹の両サイドに、手ぬぐいは1枚の両端に、お2人のサインが入っています。

応募方法
①対談シリーズ1~3回で出されるクイズの答え(必ず3問ともお答えください)
②希望商品
③豪風関×石川投手対談のご感想
④おすもうさんサイトで面白かった記事を3つ
⑤お名前
⑥メールアドレス
①~⑥をご明記のうえ、info@osumo3.comまでご応募ください。
締切は2018年8月31日
応募者多数の場合は厳正なる抽選の上、ご当選者のみにメールで詳細をご連絡いたします。
*個人情報のお取扱いについて
お預かりした個人情報は、適切に管理し、プレゼントの発送やサイト制作の参考にさせていただく以外の目的で使用いたしません。

石川「ウエイトってどんなことやるんですか?」、豪風「ベンチプレスとか、めっちゃやりますよ」、石川「スクワットもですか?」、豪風「やりますよ」、石川「フルですか?」、豪風「相撲なんで、こう、ワイドです。ケツに効くように」と、一緒にスクワットをするお二人。豪風関が石川投手のスーツがビリッといかないか心配されつつの筋トレ交流。

photo/Kaori MURAO

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