西岩部屋~平成30年“たたき上げ”の第一歩~その④

西岩部屋大特集第4弾は、相撲部屋の運営のお話をおかみさんと親方のアベックインタビューでお届けします。また、部屋の誕生から西岩部屋情報をお届けしている「西岩部屋新聞」編集長の日刊スポーツ新聞社・佐々木一郎さんのインタビューもお見逃しなく!

親方とおかみさん、2人が同じ考えを持って進んでいく

今回は西岩部屋大フィーチャーの回ですとお伝えすると、親方がおかみさんに「あれ、持ってきて」と。そこへ、おかみさんが持って現れたのが「西岩部屋新聞」です。

-これは日刊スポーツさんが発行してるんですか?
西岩親方:いえいえ。西岩部屋として発行していますが、日刊スポーツさんにお願いして作ってもらってます。

―編集長は佐々木一郎さん?
西岩親方:そうです。

―先日、青山学院巡業のときにすっごい取材されてるのをお見かけしました。
西岩親方:そうなんです。きっちり取材していただいて。これが一番最初の号です。まだこの部屋が工事中のときから作ってもらっていて……。記念に工事中の部屋の前で撮った写真が一面なんですが、始まりはまさにここですね。だから、これを一番大切にしていきたいんです。(新聞を我々に見せながら)見えます?

親方が見せたかったのは、この矢印の部分。

-はい。見えます。おかみさん可愛いです~。
西岩親方:そこ(笑)!? いやいや、ここです。
「強い力士である前に
立派な人間として成長してほしい。
まずはそこが
全ての原点だと思ってます」
っていうのが原点です。これを間違えたらだめです。ただ強くなるんじゃなくて、まずは立派な人間になりなさい。それから強くなるかどうかであって、最初に強くなることを考えたらだめだって。それが私の指導方針だってはっきり言っています。

―人間としての基本がなってないとだめってことですね。絵と同じ!
西岩親方:そうです。強くなればいいってもんじゃない。

―鳴戸親方もそうおっしゃってたんですか?
西岩親方:そう聞いたことはありませんが、そういう思いだったと思います。立派な人間になって、そこから強くなってもらえればいい。相撲部屋にいるのなんて長い人生のわずかな時間なんです。いずれは引退して親方になってここを出たり、社会に出たりするわけです。その後の人生も考えて、失敗しないようにと思っています。ただ強くなりたいだけなら、他の部屋に行けと言っています。

-それはおかみさんと親方のブログを読んでも伝わってきますね。
おかみさん:そこは一致していないと、とんでもない方向にいってしまいますから。
西岩親方:やっぱり、相撲部屋は私1人ではできませんから。2人が同じ考えをもって、同じ方向に進んでいかないと。それでも、意見が分かれることはありますよ。たまにけんかしたりもします(笑)。

-えーーー。そんなふうには見えませんね。まるで新婚さんのようです。
西岩親方:いやいや、全然新婚じゃないですよ(照)。

 

―部屋の運営についてはよく話をされるんですか?
西岩親方:毎日です。毎晩です。
おかみさん:はい。毎晩ですね。力士一人ひとりについて、今日の若佐竹はこうだった……、若野口はこうだった……って。1人ずつず~っと話します。
西岩親方:いや、本当に毎日ですよ。夜9時半になると、その日の当番がカギを持って上がってくるんです。で、「無事終わりました」って報告を受けるんですが、それでやっとホッとするんです。それから、子どもを寝かしつけながら、ふたりでお茶を飲みながらね。今日はこうだったから、これからはこうしていこうとかね。本当に毎日だね。
おかみさん:はい。毎日です。でも、どうしようもなく意見が割れたときは、舵取りは親方ですので、こういう理由でこうしていきたいと説明をいただいて。
西岩親方:最終的には私が決めますが、独裁でやるつもりはないんです。家内の意見を取り入れながらですね。ある意味、家内の意見を尊重することもあります。私でもわからないことは多いですし、女性目線から見て正しいこともある。だから、お互い意見を出しながら、たまにはケンカしながら(笑)。

―どんなことで意見が分かれたりするんですか?
おかみさん:ある力士が、のどを傷めていて、実家から送ってもらった加湿器を大部屋に置きたいということがあったんです。私はそれで気持ちがリラックスしてのどもよくなるならいいと思ったんですが、親方は絶対にだめだっておっしゃって。
西岩親方:やっぱり集団生活ですからね。ひとりだけ枕元に加湿器を置くのはだめです。使いたかったら強くなって個室を使いなさい、それまではガマンしなさいと言いました。

―そこでフォローにまわられるのがおかみさんなんですね。
おかみさん:はい。親方はこうだというとテコでも動かない方ですから、そこは知恵を出すしかないんです(笑)。そのときは、マスクを薬箱に用意しておくとか、のどあめを買っておいてあげるくらいしかできませんでしたが、どうしたらカバーできるか考えて。

―でも、そのフォローがあるのは、力士にとってはありがたいと思いますよ。
西岩親方:やっぱり母親役だからですよね。

―おかみさんも相撲部屋の運営については初めてだと思うのですが、何かおかみさん同士でつながりがあったりするのでしょうか?
おかみさん:ないんです。
西岩親方:いろんな情報が入って混乱するのもよくないですから、まずは私と相談しながらってのがいいと思うんです。

―西岩部屋は西岩部屋でって感じで。
西岩親方:そうですね。私が先頭に立って、家内が力士との間に入って中継役をやってくれればって思っています。
おかみさん:部屋持ちのおかみさんとはお付き合いはないんですが、現役の力士の方の奥さまとか、行司さんの奥さまとはたまにランチに誘っていただいています。
西岩親方:まぁ、いろいろ情報交換するのがいいのかもしれませんが、とりあえずはね。

―まだ半年ですもんね。
西岩親方:怒涛の半年でしたよ。毎日がハプニング。自分の時間は一切ナシです。

親方もおかみさんも、365日24時間営業ですね!

そんな怒涛の半年を追った「西岩部屋新聞」。相撲ファンには「相撲デスク」でお馴染みの日刊スポーツの佐々木一郎さんが編集長として作られています。今回はこの制作秘話を伺ってきました~。

佐々木一郎 ささき・いちろう/日刊スポーツ新聞社 編集局 東京五輪パラリンピック・スポーツ部 次長
サッカー、オリンピック、大相撲担当記者を経て、現在は大相撲などのデスク担当に。「月刊相撲」(ベースボール・マガジン社)に連載された「稽古場物語」では、自身の筆による相撲部屋の俯瞰イラストが好評だった。ツイッター@Ichiro_SUMO

―「おすもうさん」では1年ぶりのご登場。ごぶさたしております!(昨年「おすもう人」のコーナーにてご登場いただきました!そのときの記事はコチラ
佐々木編集長:こんにちは。もう西岩親方の取材はされたんですか?

-はい!
佐々木編集長:いっぱいしゃべってもらいました?

―はい、2時間くらいみっちりお話し聞いてきました。すっごい誠実な方でした~。
佐々木編集長:ですよね。信用できる親方なので、こういう形で協力させてもらっています。部屋をおこされると聞いて何か関わりたいなと思っていました。

―「西岩部屋新聞」の話は親方から?
佐々木編集長:そうです。こういう新聞的なものを作っている部屋は結構ありまして、実はスポーツ新聞が制作協力として入っているところも多いんです。そのほか、編集プロダクションが作っていたり、後援者の方が作っていたり。

―伊勢ノ海部屋はマネージャーの浅坂さんですよね?
佐々木編集長:そうそう。高田川部屋は行司の式守勘太夫さんがとりまとめています。西岩親方にこういうものを作りたいといわれて、見本でいろいろな部屋の新聞を持って行ったんです。

―それでこの形になったんですね。
佐々木編集長:これ、いわゆる号外と同じサイズなんですよ。表と裏のペラ1枚で。

 

―本当だ! あと、このロゴ!
佐々木編集長:日刊スポーツのロゴに似せてるんです。これ、親方のアイデアなんですよ。

―アイデアマン! どれぐらいの頻度で出ているんでしょうか?
佐々木編集長:2か月に1回です。番付発表ごとに出していて、第1号が今年の2月26日発行。現時点で最新号は10月29日発行の第5号です。番付と一緒に後援者に送ってもらってます。

―部屋にもバックナンバーが置いてありますね。全部佐々木さんが書いてらっしゃるんですか?
佐々木編集長:はい。全5号、全部私が書いてます。本気で作ってますよ。

-はい。本気度、伝わってきます! めちゃくちゃ読み応えあります! 取材はいつ?
佐々木編集長:場所後の場所休みが明けたくらいに部屋に行って、1人10分ずつくらい取材しています。番付社会なんで勝ち越した力士が、紙面上は先に来るように作っています。たとえば勝ち越した人が表で、負け越した人は裏とかですね。でも、部屋の新聞ですから、部屋頭のことばっかり書くのがいいかというと、そうでもないし、ここからは悩みどころですね。

―編集会議はやられるんですか?
佐々木編集長:私が考えて提案する形で、親方と話し合って決めています。

―やりたい企画とかは?
佐々木編集長:何やってもいいと思うんです。読者から似顔絵送ってもらうのもいいと思いますし、西岩部屋のちゃんこを紹介したり。一面でいいニュースを届けられたらいいですよね。最初は部屋ができたとか、稀勢の里関が土俵入りしたとか、教習所卒業したとかってニュースはありますが、これからは、みんな出世して幕下に上がったとか、一番いいのは関取になったってニュースを届けたいですね。

-ふだん記者さんって基本的に関取にしか取材をしないじゃないですか。
佐々木編集長:普通に仕事してると、関取が多くなります。もちろん、若い衆と仲良くなることもありますが、ここまで入門したての力士に継続的に話を聞くっていうのは私としても初めての経験なので、この成長物語を体感しながら場所を過ごすのもいいなと思っています。

―ある意味密着ですもんね。
佐々木編集長:そうそう。

―ちょっと親戚のおじさんみたいな。
佐々木編集長:そんな感じですよ。これくらいの年ごろの力士は成長期ですし、体重も増えるし、髪も伸びるし、番付もどんどん変わっていくし、見てておもしろいんです。

―髷を結っただけで涙出そうです。
佐々木編集長:そうですね。あとは、関取になって取材されるときに備えて、この取材で慣れてくれたらいいなと思います。力士を含めてスポーツ選手は、インタビューで話すことによって頭の中が整理されることもあります。自分ってこんな考えをもってたのかって、インタビューされて気づくこともあるそうです。取材を受ける練習にもなればいいですね。

―それも稽古のうちですね。
佐々木編集長:メディア対応は大事ですよ。ただ、ほどんどが10代の力士なので、こんなおっさんとしゃべるのは大変だと思いますよ。

―へたしたら、お父さんより上だったり。
佐々木編集長:そうですよ~。

―でも、もし関取になったり優勝したりしたら、佐々木さんにしか書けないこといっぱいあるんじゃないですか。ネタはめっちゃ持ってますよね。
佐々木編集長:ありますよ~(笑)。序ノ口から毎場所話聞いてますからね。早くそうなってほしいですね。楽しみです!

西岩部屋から関取が出て、日刊スポーツが出世秘話をすっぱ抜いているところを早く見たいものです! 次号は12月末の発行予定。バックナンバーも含め、西岩部屋新聞は部屋にて無料で配布中です。ぜひ稽古見学に出かけてゲットしてください。

【special present】

ご応募を締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました!

12月末に発行予定の『西岩部屋新聞』最新号(6号)を10名様にプレゼントいたします!
ご希望の方は、件名を「西岩部屋新聞希望」としていただき、お名前、メールアドレス、「おすもうさん」サイトでおもしろかった記事を3つご明記のうえ、info@osumo3.comまでご応募ください。締め切りは12月27日まで!
*個人情報のお取扱いについて
お預かりした個人情報は、適切に管理し、プレゼントの発送やサイト制作の参考にさせていただく以外の目的で使用いたしません。

photo/Tomoko HANAI(西岩親方・おかみさん・稽古風景)

西岩部屋
東京都台東区寿4-4-9
稽古見学は自由(8:30~10:30頃)
詳細・お問合せはHPより

西岩 忍(にしいわ・しのぶ)
本名・古川 忍(こがわ・しのぶ)
昭和51年7月10日生まれ、かに座、O型、青森県弘前市出身。
弘前市立第二中学校卒業後の平成4年、元・隆の里の鳴戸部屋に入門。「古川」のしこ名で同年三月場所で初土俵。平成9年十一月場所の十両昇進を機に「若の里」に改名。平成10年五月場所で新入幕を果たす。同場所で敢闘賞を受賞し、平成13年一月場所で関脇に昇進。平成27年九月場所で引退、年寄「西岩」を襲名し、田子ノ浦部屋の部屋付き親方として後進の指導にあたり、平成30年2月1日付けで独立、「西岩部屋」を開く。
プライベートでは、平成16年に結婚、引退後にスイスへ新婚旅行。平成29年に第一子が誕生。

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