武隈親方に聞く!『相撲道~サムライを継ぐ者たち~』の見どころ(後編)

前編では撮影の様子や、親方になってからの心境について聞きました。後編では、映画の内容はもちろん、現役時代のこともうかがいました!

 

力士とサムライの共通点

――作品をご覧になった感想をお聞かせください。

武隈親方:大相撲を密着する映像って、なかなかなかったと思うので、力士の生活を含めて密着しているので、大相撲のすべてが見れると思います。

大相撲の魅力がたっぷりつまった映画ですね。

――作品のなかで「本場所中は、体より頭が疲れる」とおっしゃっていまいた。親方は子どものころからのご自身の取組をとてもよく覚えていらっしゃいますが、それは覚えておこうと思ったきっかけがあったのですか?

武隈親方:いや、ないですね。もともと記憶力がいいんですよ。相撲以外の記憶力もいいんです。3年前に1度だけ会った人を覚えていたり。

――すごい!それは、覚えてもらっていた方も喜ばれますね!

武隈親方:そうなんですよ。

――この作品では、力士をサムライにたとえていたり、超人という表現をしています。

武隈親方:超人とかサムライっていうのは、見てくれた人がそう思ってくれたら、力士としてはすごく喜ばしいことだと思います。

――親方にとってサムライとはどんなイメージですか?

武隈親方:「武士は食わねど高楊枝」という言葉があるように、辛いときでも、あまりそういうしんどさを見せずに、堂々と構えているのがサムライなんじゃないですかね。そういうところが、力士との共通点だと思います。

サムライに会ったことないからわからないですけど(笑)

――これから親方としてどのような指導を心掛けていきたいと考えていますか。

武隈親方:たとえば、なかなか指導しても結果が出ない子がいても、見捨てることをせずに、寄り添って指導してあげる、というのが大事だと思います。

――武隈親方の相撲道を伝えたいのは、どんな子でしょう。

武隈親方:あんまりチャラチャラしたのはダメですね。やっぱり我慢強くて男らしい子がいいですね。

 

現役時代の験担ぎやライバルのこと

――この作品は、迫力のある「音」も魅力のひとつで、大相撲の大歓声を感じることができるのですが、現役当時は歓声で力が出た、というのはありましたか?

武隈親方:大阪場所は地元なので声援も大きく、対戦相手もやりにくかったかもしれません。ほとんど勝ち越していますし、会場もほかの場所より狭いんで、声が響きやすく声援が良く聞こえます。

――逆にやりにくかった場所は?

武隈親方:勝ち越したことがほとんどないのが、名古屋場所です。9年連続ぐらいで初日負けていますね。

――現役時代の験担ぎを教えてください。

武隈親方:初日前に食事に行き、それで初日に勝ったら、同じ店に行って同じメニューを頼みます。勝ってるときはリズムを崩したくないので。焼肉屋に行って、最後にテールスープを飲んで勝ったら、次の日も絶対テールスープを飲む、とか。

――現役時代のライバルは?

武隈親方:同い年の力士や同期生が多かったんで、あたるときは負けたくないと思っていました。清見潟親方(元栃煌山)は子どもの頃からよく大会でもあたっていましたし、大相撲では番付で負けたくないなというのはありましたね。

――妙義龍関は?

武隈親方:同じ高校で一緒にやってきて、卒業後、彼は大学に、自分は大相撲に入門しました。でもまた境川部屋で一緒になって。番付で抜かれたときには、絶対に抜かれないようにしよう思えたので、自分を燃え上がらせてくれる存在でしたね。

 

作品のみどころは「すべて!」

――この作品によって、相撲が世界に発信されます。

武隈親方:世界には、まだ相撲を知らない人がたくさんいると思うので、これをきっかけにして興味を持つ人が増えてくれたらいいなと思います。

今はコロナ禍ですけど、この作品がきっかけで相撲を観戦に来ましたっていうことがあれば、すごくうれしいですね。

――親方が考える、相撲の魅力とは?

武隈親方:裸ひとつで闘う男同士の意地と意地のぶつかり合いですね。そういう部分が大相撲の醍醐味としてあるので、そこを感じてもらえばいいなと思います。

大相撲って、ただ本場所で相撲をとるだけじゃなくて、ふだんの稽古とか、若い子がちゃんこの用意をしたりとか、他のスポーツではないと思うんです。本当に「修行」と感じる部分がたくさんあるので。そういうなかで、みんな育っていって一人前になっていく。この作品では、そういうところが見られると思います。

――親方にとって、相撲とは?

武隈親方:人生のすべてが相撲だったんで、相撲のない人生は考えられないですね。

――この作品でもっとも印象的なシーンをあげると?

武隈親方:最初から最後まで、すべてです!見逃すところはありません。最初から最後まで、まばたきせずに見てください!

武隈親方も激賞! リアルな大相撲の世界が堪能できる『相撲道〜サムライを継ぐ者たち〜』はまだまだ公開中。ぜひ、劇場に足を運んでください。

武隈 豪太郎 たけくま・ごうたろう(元大関・豪栄道)

昭和 61 年 4 月 6 日生まれ。大阪府寝屋川市出身。埼玉栄高校時代には、高校横綱等 11 の個人タイトルを獲得。卒業後に境川部屋に入門。平成 17 年初場所で初土俵。平成 18 年九州場所に新十両、平成 19 年九月場所に新入幕。平成 26 年九月場所で大関昇進。平成 28 年九月場所では全勝で初優勝を飾る。令和2年初場所で引退。動物好きで知られ、現在は猫(マンチカン)を1匹飼っている。

『相撲道~サムライを継ぐ者たち~』

TOHO シネマズ錦糸町、ポレポレ東中野ほか全国にて公開中

出演:境川部屋、髙田川部屋監督/制作総指揮:坂田栄治

製作:「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」製作委員会

配給:ライブ・ビューイング・ジャパン 配給協力:日活

2020 年/カラー/シネマスコープ/5.1ch/106 分

©2020「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」製作委員会公式サイト:http://sumodo-movie.jp/ 

公式 Twitter:https://twitter.com/sumodomovie

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